全ての人見知りへ捧ぐ、究極の人見知りソング。カノエラナ『ヒトミシリ』

    そんなカノエラナの代表曲のひとつが『ヒトミシリ』。この曲は、自身の人見知りの性格をPOPな曲で説明しています。「カノエラナ」の「ヒトミシリ」と、文字数とカタカナ表記を揃えているところも良いですね。こういうちょっとしたところにセンスが出ています。






    「その1」「その2」と人見知りあるあるをあげていく歌詞から曲はスタート。最初のパートでは主に「誘わないでくれ」「話しかけんな」という「相手へのお願い」がきます。次に「外に出るのに2時間迷う」「寄り道はせず最短ルートで」という「自身の行動」が登場。そして2番に入ってからは「自分のことが話題になると凍り付く」「ラベルや説明書きとはお友達」「アニメの話には聞き耳立ててます」と、より「カノエラナのパーソナルな部分」に迫っていきます。人見知りあるあるをただ列挙するのではなく、共感できそうなあるあるから挙げていき、よりパーソナルな部分に迫っていく構成。これで、人見知りで悩んでいる人が共感しやすく、かつカノエラナというアーティストがどういう人なのかも、曲を通して分かるようになっています。





    サビにいく直前で「うるせぇよバカ」と歌うところも良いですね。人見知りの人が言いたくても言いにくいことを代弁している。だけでなく、曲の流れとしても無理なく、強めの言葉でサビを盛り上げるための勢いを作っているんですね。


    サビの歌詞表記に注目。「あーたーしーはヒトミシリ」と、歌い方に合わせた表記になっています。「私は人見知り」と表記するとかなり深刻なイメージになってしまいますが、ひらがなとカタカナ表記にすることで、かなりPOPな印象になるんですね。そして「あーたーしーは」(あーあーいーあ)と伸ばす音を続けてから「ヒトミシリ」(いおいいい)と「い」の音で刻むことで、「ヒトミシリ」という主題が際立つようになっています。「怖い」「キモイ」「ウザイ」「早く帰りたい」「空気が吸い辛い」とリズミカルに韻を踏みながら、苦しい感情を重ねていきます。カノエラナのすごいところは、こういうネガティブなワードを並べても明るく聴かせる点。言葉のチョイス、重ね方がうまいんですね。


    そしてサビ終わりの「3回まわってワン!と鳴け」。つきまとう人間を犬にたとえています。ここはライブにおいては観客に「ワン!」のコールをしてもらう箇所。観客が参加する仕組みも用意しています。さらに「ワン」と冒頭の「その1」で「ワン」つながりで最初と最後をしめているところもうまいですね。





    そして、この曲の要は後半のこの箇所です。おそらくしょっちゅう聞かれているであろう「なんで歌を歌おうと思ったの?」という問いをそのまま歌詞にして、答えも言っています。「自分の意思を喋るのが苦手だからに決まってんじゃん」という切実な思いが、ここで登場。「受け入れられなかったらどうしようって不安で」という歌詞を不安そうに歌唱することで、観客は「悪態」の裏にあるカノエラナの感情に気付くのです。「3回まわってワン!」は、己を鼓舞する合図になりました。このフレーズは相手への命令で終わらずに、自身を奮い立たせる意味も込めているんですね。


    これほど明るい人見知りソングもなかなかありません。一見ネガティブなワードも、POPな曲に合わせて歌えば、それを克服する手段になる。カノエラナは、音楽が持っている効用を教えてくれるんですね。



    TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

    アーティスト

    UtaTen

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