初座長・神田沙也加が大阪で語った!
女子力全開なブロードウェイ・ミュ
ージカル『キューティ・ブロンド』



「お洒落でピンク好きで自分の好きを貫く、主人公のエルが大好きです」--東宝ミュージカル初座長公演が決定しました。

幼少期から観ていた東宝ミュージカルで初主演が決まりまして、恐縮すると同時に楽しみな気持ちでいます。座長については、取材中に「座長としては?」とご質問を受けることが多く、そこで(私って座長なんだ)と気づいたほど(笑)。不安もありますが、座長としての自覚を持たなければと、今は自分の中にある積極性と社交性をかき集めて気持ちを奮い立たせているところです。

神田沙也加

--原作となった映画をご覧になった感想は。

ガールズ・ムービーって可愛らしいものが好きな女の子は、絶対に好きだと思うんです。私もハイヒールやリボンが描かれたピンクのパッケージに惹かれて『キューティ・ブロンド』を手に取りました。ヒロインの成長物語はよくありますが、エルの場合は見た目で判断された挫折体験に始まり、そこから弁護士をめざすっていう。思ったより固い道にいくんだなと、最初はちょっとビックリしたんですが(笑)。でもその進み方がじつに彼女らしい。お洒落でピンク好きで、最後まで自分が好きなものは貫いて物事を解決していく。その姿がすごく好きで、何度も見返していた作品でした。

--好きなキャラクターを演じることについては?

映画もそうですが、10年ぐらい前に現地で観たブロードウェイ版の印象が強くて。とにかくエル役の人が出ずっぱりで歌い踊っていて、すごいエネルギーでした。私はいつも作品を観る時に(自分が演じるとしたらこの役で…)と妄想して観る癖があるんですが、エル役はパワフルすぎて、そんな妄想すら浮かばなかったほど(笑)。あそこまで自分ができるのかな? というのが第一印象でした。

--映画とはたいぶ違う印象ですか?

もちろん設定やキャラクターは同じですが、やっぱりミュージカルとなると曲や歌が含まれるので、あそこまでちゃんと形に出来るのかなという不安はありますね。でも映画がある分、資料として何度も見返せるのでそこはすごく良かったなと。台本のト書きにも<ピンクの服で>とあったので、舞台でもピンクの衣装が多いと思います。私は役に引っ張られるタイプなので、これからピンクのモノが増えそう。喉のケア用に、ピンクのマスクとか探そうかなと(笑)。

--映画のエルはキラキラのファッションが印象的ですが、神田さんご自身はそういう服装は好き、嫌い?

昔は原宿系の真っピンクなファッションをしていた時期もあったので、好きですね。公演チラシ用に着たスーツは私の中ではフォーマルだと思っています(笑)。最近は少しそういう服装から離れていたので、舞台のためにまた戻している段階。今日も久しぶりにピンクのスカートを着てきました。

--映画では子犬も重要な存在です。

私もそこはかなり重要だと思うので、初期の段階から確認していました。やはり生き物を安全に扱うには、かなり万全な管理が必要で、そこは協議を重ねた結果、東宝のみなさんが準備をされてワンちゃんも出演します。全国ツアーも一緒に回るみたい(笑)。どこまでお客さんに慣れてもらえるのか、まずは私がいれば大丈夫となるように、自宅に連れ帰って一緒に寝たりしたいなと思います。

--また、舞台版ならではの音楽的な魅力とは。

学生寮デルタ・ヌウの女の子たちがキャピキャピ話している感じや、女の子のおしゃべりがそのまま音階になったような非常に明るい曲ですね。忙しい曲も多いので、スタミナ面もそうですが、歌詞が聞き取りやすいように歌うのは課題ですね。クラシカルというより、ポップスを歌うのに近い印象です。曲調としては、たとえバラードでも明るい結末に向けて進んでいくようなプラスの曲ばかり。私は1幕ラストの「ソー・マッチ・ベター」という曲が好きです。

--ご自身とエルとの共通点はありますか。

パッとインスピレーションを得てそれが正しいと思ったら、絶対に実行に移すところは似ていると思います。結果、エルは全部成功していますが、私の場合失敗しちゃったなというときもあります(笑)。

--成功談と失敗談は?

成功談は芸事の仕事をお休みしていた時に、誰に相談するでもなく自分で履歴書を持ってアルバイトの面接にいきました。ちゃんと働こうと思い、ひとつは懐石料理の固めのお店と、もうひとつは2階建てのダイニングで2階を任されていました。全部で1年半ぐらい、時給は900円でした。すごく楽しくて、自分はサービス業が好きなんだなと。そこでの経験は、芸事に復帰した今も色々な面でやっていて良かったなと思いますね。失敗談は、例えば明日オフだからここに行こうと決めて、行ってみたらものすごく人が多かったとか、閉まっていてダメだったとか。そういう詰めが甘いところがあります(笑)。

--主人公は婚約者に「上院議員を目指す自分の妻としてブロンド娘はふさわしくない」とフラれても、失恋をバネに奮起します。

私はこんなにスピーディーには立ち直れない。彼の好みを知ってこうなればいいのか、そうだ大学へ行こう!とはならないので(笑)。どちらかというとすごく深くまで落ち込んで、ひどい時は何年も引きずっちゃうタイプなので、羨ましい。一番私と違う点だと思います。

「明るく楽しい作品なので、劇場ということを忘れてライブのように楽しんで!」--ご自身が目標とする座長はいますか?

尊敬する人は女性は大地真央さん、男性は堂本光一さんです。私がミュージカル女優を目指すきっかけとなった大地真央さんは、共演した際に360℃穴が開くほど見回しましたが本当に隙がないと言うか、瞬きのタイミングまで計算されていて…。ああなりたいし、なれないし、越えられないし、それでいいという存在です(笑)。もうひとりは舞台『Endless SHOCK』でお世話になった堂本光一くん。すべての場面で歌って踊ってフライングもして、ひとつの作品であれだけの要素が詰まった作品はそうないと思います。当時4ヶ月に及ぶ本番の中で、一度も疲れたそぶりを見せたことがなかった、あの姿こそ座長だなと思いました。

神田沙也加

--座長としては、現場への差し入れも気になるところでは?

もともと差し入れするのは好きな方ですが、座長になったからには手作りとかやっちゃった方がいいのかなと(笑)。ご飯好きが多ければおにぎりを、パン好きが多ければサンドイッチを作りたいな。

--共演者についてはいかがですか。

交流があったのは樹里(咲穂)さん。新田(恵海)さんとはアニメの声優アワードでお会いしました。初めましての方がほとんどですが、とても和やかな現場になりそうな顔ぶれだとも聞いていたので、ものすごく安心しました。主演だから周りに頼れないじゃなく、分からない所は教えてくださいと素直に胸を借りれる自分でいたい。エルは太陽みたいに明るい女の子なので、私も普段から明るい立ち振舞いをしようと思っています。

--声優アワードの話もありましたが、神田さんといえば、ディズニー映画「アナと雪の女王」の日本語吹き替え版のアナ役で存在を知った方も多かったのでは。

ディズニー作品なので固定ファンはいらっしゃると思っていましたが、あそこまで社会現象のようになるなんて! ターニングポイントだと思います。自分がすごく遠くに来てしまったと感じるくらい、すべてのことが変わりました。オーディションでしたが、多分ミュージカルをやっていなかったら受からなかった。演じながら歌うということが、分からなかったと思うので。

--今後もミュージカルを中心に?

そうですね。私すごく役割を感じていることがあって。ミュージカルってまだ日本では敷居が高いと思われがちだと思うんですが、知っている人がいる食事会が行きやすいように、どこかで見たり聞いたりしたことのある神田沙也加さんが出ているなら、行ってみようかなとか。まだ観たことがない方にとっての架け橋のような存在になりたくて。テレビや他の活動もすべて舞台に帰ってくるための活動です。

--改めて、神田さんが感じる『キューティ・ブロンド』の魅了とは。

やっぱり、大学でみんなが落ち着いた色合いの服装でいる中、エルだけがショッキングピンクの服を着て歩いている。まわりに合わせて自分の個性や考え方を押し込めないで、好きなものは好きだし、自分らしさを諦めない。その上、自分が決めた目標からもブレずに勉強と両立できている。私を含め、そうありたいという人は多いでしょうし、とくに同性の方には共感していただけるんじゃないかなと思います。

--女性はパワーが貰えそうな作品ですが、逆に男性は圧倒されそう?

そうですね(笑)。出てくる男性像も見た目やうわべだけで判断するタイプと、中身を見てくれるタイプと対照的な二人が登場するので。男性が観ると、結構耳が痛い場面があるかもしれません。

--ブロードウェイでの観客の反応は?

ライブみたいでしたね。「ブラボー!」「フォー!」とか歓声も上がりますし、そういのが全然許される作品なので。日本のお客様も、ここが劇場だということを忘れてライブを観るような感覚で楽しんでいただければと思います。

--最後に、お客様へメッセージを。

日本のみなさんは映画のイメージが強い作品だと思うので、エルの動きも映画を参考に完コピしつつ、どんな衣装もテンション高く着こなしたいですね。楽しく明るい作品ですので、あらゆる方にハッピーを伝えられるよう、自分が一番ハッピーで頑張ろうと思っています。

取材・文・写真撮影:石橋法子

公演情報ミュージカル『キューティ・ブロンド』
■音楽/詞:ローレンス・オキーフ&ネル・ベンジャミン
■脚本:ヘザー・ハック
■翻訳・訳詞・演出:上田一豪
■出演:神田沙也加、佐藤隆紀(LE VELVETS)、植原卓也、樹里咲穂、新田恵海、木村花代、長谷川初範ほか
■公演スケジュール
[東京] 3月21日(火)~4月3日(月)日比谷シアタークリエ
主催:東宝株式会社 問合せ:03-3201-7777
http://www.tohostage.com/cutieblonde/index.html

[愛知] 4月5日(水)~6日(木)愛知県芸術劇場
主催:キョードー東海 問合せ:052-972-7466
http://www.kyodotokai.co.jp/events/detail/1271
[香川] 4月8日(土)18:00 レクザムホール・大ホール
主催:あなぶきエンタテインメント 問合せ:087-823-3131
http://kenminhall.com/

[大分] 4月12日(水)iichikoグランシアタ
主催:(公財)大分県芸術文化スポーツ振興財団 問合せ:097-533-4004
http://www.emo.or.jp/notice/20170421cutieblonde/

[福岡] 4月15日(土)~16日(日)キャナルシティ劇場
主催:キャナルシティ劇場 問合せ:092-271-6062
http://www.canalcitygekijo.com/20670

[広島] 4月18日(火)JMSアステールプラザ大ホール
主催:新広島 問合せ:事業部 082-256-2213
http://www.tss-tv.co.jp/event_information/engeki/20170418.html

[静岡] 4月20日(木)浜松市浜北文化センター大ホール
主催:キョードー東海 問合せ:052-972-7466
http://www.kyodotokai.co.jp/events/detail/1273

[福井] 4月23日(日)13:00 越前市いまだて芸術館
主催:(公財)越前市文化振興・施設管理事業団 問合せ:0778-42-2700
http://www.jigyodan-city-echizen.jp/event/1988.html
[大阪] 4月27日(木)~30日(日)メルパルクホール大阪
主催:関西テレビ 問合せ:梅田芸術劇場 06-6377-3888
http://www.ktv.jp/event/cutie/index.html

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