宇多田の全米2位が意味するもの、ラ
ッパー共作 日本でも活性化

PUNPEEがリミックスを担当した、宇多田ヒカル「光 -Ray Of Hope MIX-」

 宇多田ヒカルの楽曲「光 ‐Ray Of Hope MIX‐」(REMIXED BY PUNPEE)がiTunes全米総合ページで日本人アーティストとしては最高位の2位にランクイン。更に世界9カ国で1位、22カ国・地域でトップ10入りを果たした。宇多田の快挙もさることなリミックスを担当したヒップホップMCのPUNPEEの名もそこに刻まれたことは国内のヒップホップ業界にとっては大きな意味を持つ。

 「光 ‐Ray Of Hope MIX‐」は11日に世界で配信リリースされ、iTunes音楽チャートでは日本をはじめ9カ国で1位を獲得したほか、22カ国・地域でトップ10入りを果たした。また、全米のiTunes総合ページで、日本人アーティストとしては最高位の2位に。自身が、2016年9月に発売したアルバム『Fantome』で記録した順位、3位を超えた。

 この楽曲は2002年に発売された、宇多田の代表曲で、人気ゲームソフト『KINGDOM HEARTS』の主題歌でもある「光」をリミックスしたもの。今月12日に発売した、ゲームソフト『キングダム ハーツ HD2.8 ファイナル チャプター プロローグ』のテーマソングにもなっている。

 リミックスを担当したのは、ラッパー、DJ、ビートメイカーのPUNPEE(パンピー)。国内最大規模のフリースタイルMC大会『ULTIMATE MC BATTLE 2006』東京大会で優勝して注目を集めた後、作品制作に力を入れた活動を展開している。活動は、MCやDJだけでなく、楽曲提供など多彩で、“永遠の若大将”加山雄三ともコラボレーション。ユニークな存在として、ヒップホップシーンではもとよく知られたアーティストだ。

また、RADWIMPSのボーカル・野田洋次郎のソロプロジェクト・illionの楽曲「Hilight feat.5lack」に客演している、ラッパーの5lackは実の弟である。

 PUNPEEは以前から宇多田のファンであることを公言。2年前にも宇多田のデビュー15周年を記念した配信特別番組(本人は出演せず)で、宇多田をリスペクトしたDJを披露している。そして昨年、宇多田のデビュー記念日におこなわれたネット企画『30代はほどほど。』では、PUNPEEがオープニングとエンディングでDJを担当。2人はこの時、共演しているが、2人での作品制作は「光 ‐Ray Of Hope MIX‐」(REMIXED BY PUNPEE)が初となる。

 宇多田とヒップホップの組み合わせでみた場合、アルバム『Fantome』では、ラッパーのKOHHが客演参加するなど“両者”の接近が垣間見える。そして海外に目を向ければ、歌姫とラッパーのコラボレーションは当たり前の事としておこなわれている。だが日本にはそうした“文化”が定着していなかった。

 人気ゲームのタイアップもランクインに一役買っているといえそうだが、すでに発売された楽曲のリミックスではあるものの、日本のディーヴァとヒップホップアーティストが手を組んだという「世界企画」な作品が世界の配信チャートで上位を獲得した。そうした状況下を鑑みた場合、宇多田の全米配信チャート2位獲得にPUNPEEの名前が連なった事はとして意義は大きい。

 さらに、国内ではMCバトル人気の影響で、日本語ラップが再大衆化していることも忘れてはならない。今後ますます国内の音楽シーンでヒップホップの影響力は強まっていくと思われる。(文・小池直也)

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