有名ボカロ曲『六兆年と一夜物語』歌
詞で語られた壮絶なストーリーを見解
する!

むしろこれほどのメロディーにしなければ、歌詞と釣り合わないと言ってもいい。特にこの曲は「おとぎ話」がテーマにされているので、聴く人それぞれで様々な見解ができるのが魅力なのだ。では、どのような歌詞なのか私も見解してみよう!





最初はいかにもおとぎ話という入り方で、空想で作られたストーリーと受け取ることができる。しかし例えばこれが消された空白の時代で、それがおとぎ話として語られているという考え方もでき、このおとぎ話を語っているのが本人という可能性が高い。

「忌み子 鬼の子」というのは文字通り人間ではない存在、もしくは鬼と人間のハーフだ。それ故に人間から忌み子として嫌われ、ただ生きているだけでも「その身に余る」拷問を受けているのだ。もちろん彼に罪はないが、人間としては鬼が脅威であり蔑む対象だ。




最初は罵声や暴力に抵抗したり自分を呪ったりすることもあったが、度重なる罵声と暴力によって生きることを諦めているのが伝わる。「悲しい事は 何もないけど」は、生きることに期待もしないしもう死んでも何も悲しいことなどないという気持ちである。

「何もないけど」それでも叶うなら普通に生まれて母親に「手を引かれてさ」それが幸せだと思える日々を送りたかったという彼なりの切ない願いが込められている。




願いが強くなる度に彼の精神は崩壊していく。生まれてすぐ捕まったので母親の顔を見たことがなく、叱られたことも優しくされたこともない。生きることを諦めてはいるが、心の底では「本当は本当は本当は本当は寒いんだ」と誰かに傍にいてほしいという悲痛な叫びが感じられる。

「死なない死なない僕は何で死なない?」と疑問系になっていることから、自覚があるかは不明だが彼が不老不死だと捉えることができる。そうでなければ既に手にかけられていても不思議ではないからだ。どうして生きる希望も無く「夢のひとつも見れないくせに」死なない?死ねないんだと苦しさが伝わる。




諦めては願い、願いは諦めてを「吐き出すような暴力と蔑んだ目の毎日」の中で何度も繰り返してきたのだろう。いつもそんな毎日で、それは自分にとって変わることがない現実だと思っていたのに、いつもと違う光景、牢の外に1人の女の子が立っていることに気づく。

鬼の子には「話しかけちゃだめなのに」女の子は「君の名前が知りたいな」と彼に問いかける。しかし冒頭に「名も無い幼い少年」とあるように彼には名前がなく、会話することを許されないために舌もとられたのだ。




もちろん彼には自分を無条件で受け入れてくれる人や居場所がないことは分かっている。しかし彼女にとっては彼を救いたいという気持ちが表れていて、この理由が後の歌詞に分かる。
状況が分からないまま彼女に手を引かれて戸惑っているのが最初の歌詞から読みとれる。「君がもう子供じゃないことも」は見た目は少女だが、長いこと生きていることを意味している。つまり彼女も人間ではない存在で、同じ境遇の彼を助けたかったのだ。

今まで他人に優しくされたことがなく、優しくされることに慣れていないながらも、彼女の温もりを感じで本当のことなんだと改めて実感している。彼にとって生まれて初めての幸せだった。




彼女も以前は彼と同じような日々を送っていて、何とか逃げ出すことができたのだろう。それなのに危険を冒してまで自分を助けに来たのだろう「見つかれば殺されちゃうくせに」彼は不死だが彼女は不死ではないことが分かる。




つかの間の幸せは一瞬で奪われる。彼らを捕らえるために人々がやってきたのだ。彼にとってはやっと手にいれた幸せで、唯一守りたい存在である彼女。不死の自分とは違って彼女は捕まったら殺されてしまうと気づく。彼は思う「僕と君以外 皆いなくなればいいのにな」



彼は彼女を逃がすために1人で捕まり、彼女のことについて聞かれても何も知らない、彼女の名前も知らないと言う。「今は 今はこれでいいんだ」と彼女さえ生きていてくれるならそれでいいんだと心の底から思っている。

実はこの歌の続きと言われている歌がある。それが「地球最後の告白を」だ。このおとぎ話の後2人はどうなったのか、不老不死であったことやその時の心情が込められている。「君が知らずに 幸せな灰になった後で僕は今更・・・」好きという気持ちを伝える。

初めて自分を受け入れてくれた相手に伝える最高の告白は、この曲を聴かなければ分からないだろう。「六兆年と一夜物語」の後で「地球最後の告白を」も続けて聴いてほしい!



TEXT:SHIN

アーティスト

UtaTen

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