中島みゆき『糸』 幸せではなく「仕
合わせ」と歌詞に書かれている理由と
は・・。

「地上の星」「ファイト!!」など後世に語り継がれる数々の名曲を生み出してきた。

情景が頭に浮かぶ彼女の詩は時に残酷である。だが、決して後ろ向きではない。現実から目をそらすのではなく、現実の真正面に立ち目を見開いて新たな光を探す。

それは結婚式の定番曲でもある「糸」の詩からも感じとれる。今回は、1998年に放送された大人気ドラマ『聖者の行進』の主題歌でもあった同曲をご紹介したい。





「いつ出会うのか、なぜ出会うのか」明確な答えは世の中に存在しない。
また、その疑問の答えを知ったところで何の意味もないはずだ。
理由を求めるのではなく、出会いというありのままの事実を受け入れることが必要なのかもしれない。

生の尊さを訴えている中島みゆきの声が、そんな考えへと導いてくれる。



人を糸と例えて、「出会い」の可能性を説明している。
出会いは決して当人だけのものではない。歌詞にもあるように誰かの希望となることもあるのだ。



誰かの希望となる糸であるが、それは決してピンと強く張り続けられない。
時に強い風に吹かれ、繊細な糸は今にも切れそうに揺れるのである。

中島みゆきは、機微のある人の心を「糸」で見事に表現している。



中島みゆきは「幸せ」とは書かずに「仕合わせ」としている。「仕合わせ」という言葉には幸せという意味もあるが、「めぐりあわせ・運命」という意味もある。

その意味を含めてこの歌詞を解釈すると、会うべき人に会うことは定められた現実と読み取れる。言ってしまえば、出会いというのはそれ以上でも以下でもない一つの事実なのだ。


糸をどのように布へと変えていくか、つまり、出会いをどう成熟させていくかが重要なのだ。
「なぜ出会うのか、いつ出会うのか」その理由は分からずとも、出会いそのものが別の誰かを救っているのだから。



TEXT:笹谷創(http://sasaworks1990.hatenablog.com/

アーティスト

UtaTen

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