第67回NHK紅白歌合戦、“紅白ソムリ
エ”が注目する7曲

選曲のエキスパート“ミュージックソムリエ”があなたに贈る、日常のワンシーンでふと聴きたくなるあんな曲やこんな曲――今回は、本日29日(木)9:50からのフジテレビ『ワタシが一番知ってます』にて「紅白歌合戦知識王」として優勝した、日本最強の紅白ウォッチャーであるミュージックソムリエ・カーシーさんより、今年末の放送において注目すべき7曲をお伝えします。
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>優勝番組URL
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/161229chishikiou/

1.「心かさねて」/市川由紀乃

●苦節24年超、ついに紅白初出場!
苦節云年で紅白初出場……という演歌歌手は過去にもいますが、長い活動休止から復帰して紅白の舞台にまで辿り着いた演歌歌手は、市川由紀乃さんくらいかもしれません。作曲家・市川昭介門下生としてデビューしたのが1993年、燃え尽き症候群で2002年から4年半の休止期間がありましたが、復帰して実績を重ねてここまでやってきました。
記念すべき初出場の曲として歌唱する「心かさねて」は、今年を代表するヒット演歌。女ならではの愛を描いた見事な歌詞は、「越冬つばめ」を手がけた石原信一の作です。説得力のある歌声で、聴かせるステージになりそうです。

2.「九頭竜川」/五木ひろし

●紅白歌合戦史上初、40曲目の歌唱
30回以上の紅白出場となると往年のヒット曲を披露する歌手もいますが、五木ひろしさんだけは例外。出身地・福井を流れる九頭竜川を歌う今回の曲で、番組で披露した歌は40曲。ちなみに通算出場回数がより多い北島三郎さんが30曲、森進一さんが33曲。五木さんが、いかに稀有な例であるかよく分かります。
最近の紅白は、特に中堅どころ以上になると演歌はほとんど往年の名曲です。これはこれでファンとしては嬉しいのですが、五木さんほどのベテラン歌手が毎年新曲を歌うのも紅白ウォッチャーとしては楽しみな見どころです。
“二度とない人生だから”に代表されるスケールの大きい歌詞、68歳と思えない声量。演歌に馴染みのない若い世代にもぜひ、「五木ひろしの凄さ」を味わって欲しいです。

3.「サイレントマジョリティー」/欅坂
46

●今年数少ない10代がメインのユニット
今年の初出場者は紅白合わせて10組いますが、ほとんどが昨年以前に大きな実績があったり、別分野での活躍があったり……本当にフレッシュなのは彼女たちくらいではないでしょうか。少し前だと中学生や高校生が紅白に出場することも珍しくなかったですが、ここ最近は少なくなりましたね。
「サイレントマジョリティー」は今年4月に大ヒットした彼女たちのデビュー曲。センターの平手友梨奈さんはまだ15歳という若さです。同年代の心情を代弁するかのような大人顔負けの歌唱力と、フレッシュなパフォーマンスに滲み出る芯の強さ。この2つを体感できるステージは、初出場者のまさに醍醐味、ぜひ注目してください。

4.「ハリケーン・リリ、ボストン・マリ
」/AAA

●ライブで定番の人気曲、満を持して紅白初披露
AAAがライブで必ず披露するこの曲は、紅白初出場を果たした2010年より前となる、2006年のナンバー。当時は後藤友香里も含めた8人組(現在は7人)。ファン歴が長い人ほど、今回の選曲には感慨深いものがあるのではないでしょうか。
楽曲提供は真島昌利。ブルーハーツ→ハイロウズ→クロマニヨンズのギタリストとしてお馴染みです。彼の提供曲が紅白の舞台に響き渡るのは今回が初、つまり「紅白初マーシー」でもあるのです。
AAAのライブではタオル回しがこの曲の定番。私が生で彼らを見た、昨年の新潟「音楽と髭達」という音楽フェスでは、砲台を使ってタオルを打ち上げる演出もありました。
紅白は7回目の出場になる彼らですが、これまで以上に楽しいステージが今回は期待できそうです。

5.「恋」/星野源

●今年を代表するヒット曲に、演出も無限の可能性
星野源さんは2度目の出場です。今回の楽曲については、わざわざここで書く必要もないほどの国民的ヒット曲になりました。というわけで注目したいのは演出。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』からは、いわゆる“恋ダンス”が期待されます。既にゲスト審査員で新垣結衣さんの出演も決定していますし、どんなメンバーが、どれくらいの規模で、何人参加するのかと、期待がふくらんでしまいます。
また、『真田丸』絡みの演出も期待できます。さらにNHKではコント番組『LIFE!』にも出演しています。
内村光良さんや塚地武雅さん、ムロツヨシさんらの乱入もあるかもしれません。
大ヒット曲だと演出の期待も大きくなりますが、これだけ想像できる例は滅多にありません。あるいは今回の紅白歌合戦で、最大のハイライトと言っても過言ではないでしょう。

6.「青春の瞬き」/椎名林檎

●今年の林檎は“青春”の味
実はここ3年連続で、私が驚かされているのは椎名林檎さんのステージです。一昨年の「NIPPON」で見せた眼の力。前回の「短い祭」で見せたステージの世界観。いずれも圧倒的な存在感でした。今年のリオ五輪閉会式も大喝采を浴びましたが、これもひとえに彼女が関わっていたからではないでしょうか。
「青春の瞬き」は元々栗山千明さんに提供した曲で、自身が歌うバージョンは一昨年のアルバム『逆輸入~港湾局~』収録されたものが初。最終回の一つ前となる先日19日放送『SMAP×SMAP』で、初めて聴いた方もいるかもしれませんね。

7.「花束を君に」/宇多田ヒカル

●“人間活動”から復帰、初の紅白へ
NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』主題歌として発表された「花束を君に」。同じ日に配信リリースされた「真夏の通り雨」。そしてアルバム『Fantôme』。久々に聴いた宇多田さんの歌声は、とても優しくて抱擁力に満ちています。
彼女がついに紅白歌合戦初出場。発表された曲順は、紅組のトリを務める石川さゆりさん「天城越え」の前。紅白ウォッチャーでなくとも、非常に楽しみな瞬間です。
●おわりに
43組のステージが披露され、両組トリも含めると今年の紅白出場歌手は46組。
話題のピコ太郎さんはどう登場するのか、SMAPの勇姿の歴史はこのまま埋もれてしまうのか、大ヒットした大河「真田丸」の堺雅人さんや来年の「おんな城主直虎」の柴咲コウさんはどんな演出で現れるのか――お話は尽きませんが、これらはまた別の機会に。

それでは日本の年の瀬の風物詩、67回目を迎える国民的歌番組を、皆様もぜひ楽しんでください。

(選曲・文:カーシー)
さて、お気に召した選曲はございましたか。
ぜひ今年の紅白歌合戦をホールで、あるいは生放送で、せめて録画でお楽しみいただき、CDやレコードなどの音源でも、各出場者の楽曲をお楽しみいただければ幸いです。

それでは、よいお年を♪
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OKMusic編集部

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