スラムダンクED・大黒摩季「あなただ
け見つめてる」は、アニメへの皮肉だ
った?
アニメの最後に、ゴール前で跳躍する桜木の静止画とともに、この曲のサビが始まるのがとても印象的で、覚えている方もいらっしゃるのではないだろうか。
スラムダンクといえば、主人公の桜木花道が、湘北高校に入学してすぐに同級生の赤木晴子に一目惚れをし、彼女のすすめでバスケ部に入り、バスケットボールにのめり込んでいくというストーリー。晴子への一途な思いに後押しされ、バスケの世界で桜木の才能は開花していく。
一方、「あなただけ見つめてる」で描かれる女性は、好きな人に一途になることで、どうなっていくのだろう。歌詞をみてみよう。
「あなただけ見つめてる」の女性は、彼と付き合う以前はかなりイケイケ(死語)な女の子。週末になるとバッチリ化粧をし、パーティーに繰り出していくような女性だった。「便利だった男の子達整理した」と歌詞にでてくるように、たくさんの男の子達を周りにはべらせてきた、そういう女性。そんな女性が、ひとりの男性と付き合うことで変わっていく様を描いているのが、この「あなただけ見つめてる」のストーリーである。
まず彼女は、化粧を辞める。相手の男性の好みに合わせたのだ。どこにいてもポケベルの呼び出しひとつで彼の元へ。男性の趣味である車やサッカーに詳しくなり、話が合うようにする。以前はそんなものに見向きもしなかった彼女だったのに。
彼女は一見、彼の好みの女になるために努力する、いじらしい女性に映るかもしれない。だが、彼女の行動は徐々にエスカレートしていき、自分の性格や生活スタイルまで変えてしまう。
この曲の最後は、こんな歌詞でしめくくられる。
彼女に残ったのは、大好きな彼氏だけ。自分の我がなくなり、従順に彼のそばにいることだけが一番の「夢」になったのだ。好きな人から打ち込めるものを与えられ、世界が広がったスラムダンクに対し、「あなただけ見つめてる」は彼そのものに打ち込んでいって彼以外を失ってしまう。この歌詞の内容、スラムダンクのストーリーへの皮肉になっていないだろうか。
スラムダンクが自身では初のアニメタイアップだった大黒摩季。アニメのストーリーになぞらえて、こんなにエッジの効いた歌詞を書いたのだったらとても気が利いている。
TEXT:遠井瞳
スラムダンクといえば、主人公の桜木花道が、湘北高校に入学してすぐに同級生の赤木晴子に一目惚れをし、彼女のすすめでバスケ部に入り、バスケットボールにのめり込んでいくというストーリー。晴子への一途な思いに後押しされ、バスケの世界で桜木の才能は開花していく。
一方、「あなただけ見つめてる」で描かれる女性は、好きな人に一途になることで、どうなっていくのだろう。歌詞をみてみよう。
「あなただけ見つめてる」の女性は、彼と付き合う以前はかなりイケイケ(死語)な女の子。週末になるとバッチリ化粧をし、パーティーに繰り出していくような女性だった。「便利だった男の子達整理した」と歌詞にでてくるように、たくさんの男の子達を周りにはべらせてきた、そういう女性。そんな女性が、ひとりの男性と付き合うことで変わっていく様を描いているのが、この「あなただけ見つめてる」のストーリーである。
まず彼女は、化粧を辞める。相手の男性の好みに合わせたのだ。どこにいてもポケベルの呼び出しひとつで彼の元へ。男性の趣味である車やサッカーに詳しくなり、話が合うようにする。以前はそんなものに見向きもしなかった彼女だったのに。
彼女は一見、彼の好みの女になるために努力する、いじらしい女性に映るかもしれない。だが、彼女の行動は徐々にエスカレートしていき、自分の性格や生活スタイルまで変えてしまう。
この曲の最後は、こんな歌詞でしめくくられる。
彼女に残ったのは、大好きな彼氏だけ。自分の我がなくなり、従順に彼のそばにいることだけが一番の「夢」になったのだ。好きな人から打ち込めるものを与えられ、世界が広がったスラムダンクに対し、「あなただけ見つめてる」は彼そのものに打ち込んでいって彼以外を失ってしまう。この歌詞の内容、スラムダンクのストーリーへの皮肉になっていないだろうか。
スラムダンクが自身では初のアニメタイアップだった大黒摩季。アニメのストーリーになぞらえて、こんなにエッジの効いた歌詞を書いたのだったらとても気が利いている。
TEXT:遠井瞳