『大エルミタージュ美術館展』は公式
サイトが面白い! 絵画に対する見方
が変わる"ある仕組み"



エカテリーナ2世がベルリンの実業家から317点の絵画コレクションを取得したのが始まりとされるエルミタージュ美術館。本展では、エルミタージュ美術館のコレクションの中でも、特に充実している16世紀ルネサンスから17~18世紀のバロック・ロココの名画85点を国・地域別に紹介する構成となる。ティツィアーノ、クラーナハ、ルーベンス、ヴァン・ダイク、レンブラント、スルバラン、フラゴナールなど、巨匠たちの名画が一堂に会する大規模な展覧会だ。

本展について、展示内容以外にも注目しておきたいトピックスがある。それは、本展の公式サイトだ。

『大エルミタージュ美術館展』公式サイト(http://hermitage2017.jp/)より (C)Nippon Television Network Corporation


運命の作品と出会う、並び替え機能本展の公式サイトでは、通常の展覧会公式サイトと同様に『開催概要』や『展覧会のみどころ』『チケット情報』などが掲載されている。ここで注目してほしいのが、『作品紹介』の項目だ。本展にて出品される名画の数々が、展覧会の章別に配置されているが、同時に『シャッフル』と『お気に入り♡順』という並び替えも行うことができる。

『大エルミタージュ美術館展』公式サイト(http://hermitage2017.jp/)より (C)Nippon Television Network Corporation

『シャッフル』では、公式サイトにて公開されている19作品をランダムに表示することが可能だ。本展のメインイメージとして表舞台に登場する《戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世の肖像》や《林檎の木の下の聖母子》以外の作品にも、偶然性をもって簡単に出会うことができる。

この表示の仕方は、国・地域別に構成したという展覧会の流れや見せ方を、ある意味で"壊す"ようなでもあるといえよう。しかしながら同時に、展覧会が提示した鑑賞方法を強いるのではなく「各々の鑑賞者にとってのベストな1点と出会ってほしい」という意図をもった作品紹介ページとも解釈できる。

芸術作品に"いいね!"をつけようさらに個性的なのは、『お気に入り♡順』だ。本ページの各作品下部をみると、ハートマークが付されており、それをクリックをすると横の数値が+1される仕組みになっている。いわばこれは、展示作品に"いいね!"を押すことができる機能といえるだろう。

『お気に入り♡順』を選択すると、そのハートマークが押された数が多い作品から順に並び替えることができる。この"ユーザーからのお気に入りポイントによる並び替えシステム"は、昨今のSNSやWEBサービスなどではよくみられるものであるが展覧会の作品ページで行われることは稀だ。

『大エルミタージュ美術館展』公式サイト(http://hermitage2017.jp/)より (C)Nippon Television Network Corporation

この『お気に入り♡順』を表示することは、サイトを訪れた鑑賞者の声・思い・感情を反映することに繋がる。ここにも前述の『シャッフル』と同様、展覧会を開催する側がある種一方的に作り上げた解釈の仕方にとらわれず、鑑賞者それぞれが美術作品の良し悪しを判断してほしいというメッセージが読み取れる。

ただ漫然と並べられた作品を眺めるのでなく、「自分はどの作品が好きか?」という視座をもって作品と対峙することで芽生える感覚があるだろう。ぜひサイトを訪れて作品を見比べ、これだと思う作品に"いいね!"を投じてみてほしい。

人気No.1はエカテリーナ2世 では最下位は?ちなみに、2016年12月9日現在『お気に入り♡順』のトップは《戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世の肖像》だ。2位が《林檎の木の下の聖母子》、3位が《盗まれた接吻》と続いている。いずれも本展のメイン作品ともいえる花形作品だ。

ウィギリウス・エリクセン 《戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世の肖像》 1760年代 (C)The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18

ルカス・クラーナハ 《林檎の木の下の聖母子》 1530年頃 (C)The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18


ジャン=オノレ・フラゴナールとマルグリット・ジェラール 《盗まれた接吻》 1780年代末 (C)The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18

残念ながら最下位にきているのはレンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レインによる《運命を悟るハマン》という作品。どのような作品なのかは、ぜひご自身の目で確かめてみてほしい。

本家・エルミタージュ美術館のサイトも凄かったまた、エルミタージュ美術館の公式サイトでは、WEB上で美術館内を自由にめぐることができる『VIRTUAL VISIT』という機能が公開されている。いわゆるGoogle ストリートビューのように、高画質で豪華絢爛な美術館内を見て回ることができるのだ。『大エルミタージュ美術館展』出品作たちの"ホーム"を知った上で展覧会を訪れてみるのも、また一興といえそうだ。

『大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち』は、2017年3月18日(土)~6月18日(日)の期間、森アーツセンターギャラリーにて開催。


イベント情報大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち

会期:2017年3月18日(土)~6月18日(日)
休館日:5月15日(月)
会場:森アーツセンターギャラリー
開館時間:午前10時-午後8時(火曜日は午後5時まで、但し5/2は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階)
〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
主催:エルミタージュ美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ、森アーツセンター
後援:外務省、駐日ロシア連邦大使館、ロシア連邦交流庁(Rossotrudnichestvo)
特別協賛:大和ハウス工業
協賛:光村印刷
協力:フィンエアー、フィンエアーカーゴ、日本貨物航空、日本通運、JR東日本、CS日テレ、ラジオ日本、J-WAVE、文化放送、TOKYO MX、テレビ神奈川

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