角松敏生、サンリオキャラと生演奏で
紡いだ光のイリュージョン

角松敏生がプロデュース、ミュージカルとバンドの生演奏を融合させた総合エンタテインメントショウ

角松敏生がプロデュース、ミュージカルとバンドの生演奏を融合させた総合エンタテインメントショウ

 活動35周年を迎えたシンガーソングライターの角松敏生が去る10月8日、東京・サンリオピューロランド内のメルヘンシアターで『TOSHIKI KADOMATSU Produce「ILLUMINANT REBIRTH “NIKOICHI” feat.MAY'S」』を開催した。角松とサンリオの人気キャラクター・ディアダニエルとの奇縁で実現した今回のステージ。角松が総合プロデュースを手掛け、10月1日から10日までの休日・祝日の5日間、全10公演がおこなわれた。角松のライブでコーラスを務める片桐舞子が河井純一と組むユニット、MAY’Sがフィーチャリング参加。ミュージカルとバンドの生演奏を融合させた総合エンタテインメントショウで、サンリオのキャラクターたちとともに「NIKOICHI」のメッセージを発信した。大人から子供まで楽しめる希望に満ちたステージで観客を魅了した。

サンリオキャラクターと共演

角松敏生

角松敏生

 サンリオピューロランド内にあるメルヘンシアターに続々と観客が入場する。BGMには角松らしい選曲で、ラリー・カールトンの「Room335」やソウルミュージックが流れていた。定刻を少々過ぎたところで暗転すると、舞台の幕開けを告げるファンファーレともいえる音楽が盛大に響き渡った。

 音楽がブレイクすると、幕の中央からひょっこり顔を出した角松。座長としてこの舞台のコンセプトなどを丁寧に解説する。キーワードは「願いごと」、これをテーマに物語は進んでいくことになる。角松は「これから仕事がありますので」と一言だけ残して幕の中に消える。

 楽曲「ILLUMINANT」をバックにMAY'Sの片桐舞子、サンリオキャラクターであるディアダニエル、ポムポムプリン、シナモロール、そして、ダンサー達が華やかにステージを彩った。バックサウンドにはもちろん角松率いる一流ミュージシャン達がグルーヴィーなサウンドで豪華に演出した。生演奏という贅沢な空間のなか、“可動域の狭い”プリンやシナモンもキレのあるダンスで観客を楽しませた。

 角松もエレキギターでファンキーなカッティングを決めたかと思いきや、すぐにスティックに持ち替えティンパレスやカウベルなどの打楽器でリズムを刻む。そして、甘い歌声で会場の観客達を魅了して行った。ステージ上の情報量の多さに目のやり場に困ってしまうほど。

 「Everybody OK?」や「Dancing Shower」など多彩な音楽でストーリーを盛り上げていく。時に角松はステージの前に赴き、サンリオキャラクター達とデュエット。貴重なプリンらとのツーショットで観客の視線が集中する。シーンが変わり、MAY'Sのバラードナンバー「永遠」では角松はガットギターに持ち替え、秋にふさわしい情緒あふれるサウンドを奏で、衣装をチェンジした舞子の透き通るような歌声が会場に響き渡った。シーンが変わりハローキティも登場し、角松との夢の共演。キティーの可愛らしい歌声と角松の歌声がハーモニーを奏でる。

 角松と舞子のデュエット曲「DADDY」を披露。舞子の歌声に角松の甘い中低音の声が寄り添い支え合う。この舞台のテーマとも言える2つで1つ“NIKOICHI”を体現しているかのようなセクションで会場を優しさで包み込んだ。この後のシーンではMAY'Sの河井純一も演技に参加。セリフこそないものの舞台のスパイスに。そして、この舞台の転ともいえるシーンではシリアスな演奏で、ガラッと空気感を変えていった。光と闇という対比によって緊張感あふれるステージに。生演奏の迫力でより一層の臨場感は圧巻。

観客とともに作り上げた光のイリュージョン

舞台の模様

舞台の模様

 闇の帝王によって闇にとじこめられてしまったダニエルと舞子を助けるために、ハローキティーの合図でIlluminantの光をイメージしたペンライトを観客も灯し、美しい光景が会場全体に広がって行った。優雅な「The End of Illuminant」が流れるなか、その景色に角松も満足そうな表情を見せた。

 舞台も終盤に差し掛かると、メンバー総出演でMAY'Sの「Traveling」、「WAになっておどろう」などハッピーで明るいナンバーで会場を包み込む。観客も総立ちで手振りをユニゾンし盛り上げていった。「繋がっている」という大切なことを再確認できた瞬間。舞子やキャラクター達、ダンサー達もステージから客席に降り、近距離でパフォーマンス。夢のような空間を作り上げた。

 さらに、角松が書き下ろした新曲「What Is Your Dream」も披露するなど、子供から大人まで楽しめる舞台に仕上がった光と闇のイリュージョンの『ILLUMINANT REBIRTH “NIKOICHI”』にダイナミックな生演奏でさらなる彩りを加え、ストーリーを盛り上げていく様は角松のキャリアの中でも稀有な出来事。終始目の離せないステージに。

 舞台のクライマックス、再び「ILLUMINANT」を演奏。これ以上ないほどのハッピーでポジティブなエネルギーがあふれる。音とダンスで会場を盛り上げ、最後はこの日のために角松が書き下ろした新曲バラードまで、まさにハッピーエンドに相応しい演出で『ILLUMINANT REBIRTH “NIKOICHI” feat.MAY'S』は大団円を迎えた。幕が閉まった後も観客の拍手が鳴り止まない。再び、幕が開き角松と出演者が登場。感謝を述べ、キャラクターに囲まれた角松は嬉しそうに、役得役得と笑顔のなか、イルミナントの幕は閉じた。

 舞台で生演奏、本来これがあるべき姿なのかもしれない。このミュージカルとバンドの生演奏を融合させたスタイルは特別新鮮に感じられた。公演によって微妙な違いまでも、その時の空気を読んで演奏していくまさにプロフェッショナルなステージ。このようなスタイルのステージがもっと広がって定着していくことを願いたい。

(取材・村上順一)

MusicVoice

音楽をもっと楽しくするニュースサイト、ミュージックヴォイス

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着