新納慎也インタビュー ~『I Love M
usical』で久しぶりのミュージカル・
ナンバー歌唱



同窓会というか、お祭りというか、そんな気分−−大河ドラマの撮影から一転、久しぶりのミュージカルですね。

そうなんですよ。実はもう2年近くミュージカルには出演していなくて。舞台はいっぱい出ているんですけど、ストレートプレイばかりだったので、ミュージカルナンバーを歌うのは久しぶりですね。

−−久しぶりということで、緊張していますか。

緊張あります、あります。取材の前にリハーサルをやっていたんですけど、「ミュージカルの歌い方って、そうそう、こう言う歌い方だよね」っていうのをちょっとずつ思い出しながらやっていました。今回のようなコンサートって、普通の作品では寄せ集められないメンバーと共演したりするんです。僕らにとっては、同窓会というか、お祭りというか、そんな気分ですね。ミュージカル好きな人の中には、ダンスが好きとかお芝居が好きとか色々あると思うんですけど、ミュージカルの楽曲が好きだという人も居て。そういう人にとってはすごくお得だなと思います。

−−構成・演出は今をときめく石丸さち子さんですが、いかがでしょう。

石丸さんとは、蜷川幸雄さんの現場でご一緒したことがあって。当時石丸さんは演出助手だったんです。そして気が付いたらミュージカルの世界に石丸さんがいて。お芝居の人だと思っていたから、ミュージカル好きって聞いてびっくりしたんですよ。多分僕よりミュージカルに詳しくてミュージカル好きだと思います(笑)製作発表の時も熱意がすごかったですよね。あぁ本当にミュージカル好きなんだなぁって思いました。

新納慎也

−−稽古場の雰囲気はどうでしょう。

稽古場も何も、みんなで集まるのは1日だけなんですって(笑)データが送られてきて、突然合わせて、突然本番。嘘みたいに終わるんです。本番で初めて知ることもあったりするんです。「ここでこんな音入るんだ」とか「ソロだと思っていたら一緒だった」とか、歌い終わって、「で、俺、どっちにはけるの?」とかね(笑)

−−セットリストは秘密だと思いますが、ファンとしては期待してもいいですか。

僕、ミュージカルでも特異なキャラクターが多いので、いわゆる二枚目が歌うような歌をミュージカルで歌ったことないんです。でも、こういうコンサートでは、THEミュージカルな曲を歌わせてもらえるので嬉しいですね。なんか二枚目ぶって(笑)本編では絶対にありえないような新納慎也の歌を...僕、ライブとかでも絶対ミュージカルの歌を歌わないんですよ。苦手なんです(笑)だから僕がミュージカルの歌を歌うのが聞けるってこういうコンサートか、まぁ本当のミュージカルの中だけなので、貴重です。実は今回「キャバレー」を...

−−え、「キャバレー」ですか。

なんでやねん、ってなるよね。どこか二枚目やねんってなるよね。僕も「なんでキャバレーやねん」って思うんですけど(笑)

−−ミュージカル全般のことを伺いたいです。製作発表では「RENT」がお好きだと言っていましたが……

そう、製作発表の時の話でね。僕、「子供の頃に宝塚のポスターに画鋲を貼るぐらいミュージカル嫌いでした、でもそんな僕がミュージカルの魅力に魅了されて、ミュージカル好きになっている。だから食わず嫌いじゃなくて見に来てくださいね」ってナイスコメントを言ったんです。共演者の人からは「ブラボー!」ってなったのに、某ニュース媒体が後半をカットして、「画鋲刺した」だけ載せたんですよ(笑)もう、ちゃんといいこと言っているんですって伝えてください。...で、なんでしたっけ?(笑)

RENTが分岐点、ラ・カージュが原点−−「RENT」の魅力はどこにあるのでしょうか。

「RENT」の前と後で、ミュージカル界が変わったんです。それまではいわゆる「マイ・フェア・レディ」とか、「ラ・カージュ・オ・フォール」とか「レ・ミゼラブル」とかグランドミュージカルが主流だったんです。オーケストラピットがあって、役者はドレスを着て。スタイルとしては、喋りながら突然歌い出す感じで。でも「RENT」はロックをミュージカルにして、楽曲は楽曲として伝えた。もちろん物語の中なんだけれども、楽曲としてもしっかり成立している。当時、二十歳ぐらいの僕から見て、ミュージカルの曲ってクラシックで、声楽的で、僕からは遠い場所あったんです。けど、「RENT」の曲は、普段聞いているような、格好いいなという楽曲で。僕もミュージカルの世界に残れるんっだなって思えた。「あ~!(オペラ風に)」とか僕できないんで(笑)。かっこよかったですね、ものすごく。当時、世界的な問題にもなっていたHIVがテーマとして取り上げられたし、ハッピーエンドじゃないし。僕は、いい節目にいい作品に出会えたなと思っています。あれがなかったら僕ミュージカルやってないと思うんです。続けてないと思うんです。

−−となると、「RENT」が原点ですか。

原点というか、分岐点かな。

−−「原点」ということになると、「ラ・カージュ・オ・フォール」でしょうか?

そうですね。「ラ・カージュ〜」なのかなぁ。初めて「ラ・カージュ〜」に出演した本番の前日に、今、僕がやっている役の人が入院されたんですよ。当時僕は二十歳そこそこで、本来なら前にその役をやっていた人を呼ぶんですけど、当時の演出家がなぜかアンサンブルの一番端っこにいる僕にやらせたいと言ったらしくて。プロデューサーが「新納にやらせたいって言っているんだけど、できるかって」って言われて、すぐ「やります」って答えました。その次の日には、劇場に入って、衣装全部直してもらって、かつらも直してもらって、直してもらっている横でキーボード持った音楽監督が歌を教えてくれて。みんなで踊りながら、みんなが指示をくれて、初日をやったんです。だからすごく思い入れがあります。僕がどんな役をやろうが、売れようが、この役だけはできる限りやらせてほしいって思っています。

新納慎也

少し早い、歌のクリスマスプレゼント−−改めて、どういう人にこのコンサートを見て欲しいでしょうか。

ミュージカル好きの人は勿論ですけど、例えば連れられてたまたまきちゃったとか、テレビで僕を知って、じゃぁ歌っているのを聞いてみようかなとか、例えばそういう人にとってのミュージカルって、ドレスを着てタキシードでシルクハットでステッキで・・・っていう世界でしょ。「わ~~!(オペラ風に)でしょ」って思っている人が多いと思うんですけど、そんな人たちが「あ、こんな風な楽曲もあるんだな」って思ってくれたら。昔のミュージカルのイメージがどうしてもやっぱり一般には定着しがちなので、そうじゃなくてこんなに現代的な楽曲がミュージカルにあったりするんだよっていう風に見てもらえればいいなぁって思います。一般には有名じゃない僕らですが、ミュージシャンとは訓練の仕方が違うので、ミュージシャンが歌っているのとはちょっと違うでしょみたいなところもあるでしょ、一般的に広まっているミュージカルならではでもないでしょ、っていうのを知ってもらえればと思う。

−−12月の公演ということで、クリスマスプレゼントのようなコンサートになりそうですね。

公演の次の週はちょうどクリスマスイブですもんね。ちょっと早いクリスマスプレゼントとして歌のプレゼントをできたらいいですね。

新納慎也

※製作発表の記事はこちら

公演情報『I Love Musical』
■日時:
2016年12月17日(土) 13:00開演/17:30開演
2016年12月18日(日) 12:00開演/16:30開演
■会場:東京グローブ座
■構成・演出:石丸さち子
■音楽監督: 鎌田雅人
■出演:相葉裕樹、泉見洋平、岡田浩暉、坂元健児、新納慎也、 大塚千弘、久野綾希子、貴城けい、玉置成実(男女別五十音順)
■公式HP:www.ilove-musical.jp

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