一番つらかった、7!! 波乱のツアー
を乗り超えた先に感じた「絆」

「きみがいるなら」は過去の作品のなかでも一番悩んだという7!!

「きみがいるなら」は過去の作品のなかでも一番悩んだという7!!

 沖縄出身・在住の男女4人組バンドの7!!(セブンウップス)が11月23日に、ニューシングル「きみがいるなら」をリリースする。リードトラック「きみがいるなら」は、テレビ東京系ドラマ24『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(山田孝之ほか)のエンディングテーマで、彼らにとっては初めてのドラマ起用。「絆」をテーマにしたという切ないバラードだ。カップリングは、彼らとしては珍しいマイナー調ロックの「Yes or No」で2曲合わせて、コントラストの効いた作品に仕上がっている。秋のツアーも無事に終えたばかりの7!!。新譜に込めた想いや波乱尽くしだったというツアー、そして、今年の総括を聞いた。

敢えて自分たちらしくない世界観の曲を書いた

NANAE(Vo)

NANAE(Vo)

――「きみがいるなら」の手応えはいかがですか。

MICHIRU もともとは、ドラマ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の監督さんが僕らの「オレンジ」という曲を聴いて「今回のエンディングはこういう曲にしたい」と依頼してくれたんです。ドラマが「仲間たちと旅をする」という内容なので、それを自分たちに置き換えて、人との繋がりの事を考えて作った曲になっています。ライブでやると感動して「良かった」と言ってくれる人も多くて、書いて良かったと思います。

MAIKO 発売前にツアーで予約会をしたんです。実際に生で聴いて予約してくださった人がたくさんいらっしゃったので、手応えとして「よし!」と。もちろん、ファンだからごひいきにしてくれているところもあると思うんですけど、これから増々ドラマを通して「7!!の曲いいね」と言ってくれる人が増えると良いなと期待ワクワクです。

NANAE ドラマが初めてというのもありますし、『勇者ヨシヒコと導かれし七人』は熱狂的なファンの方もたくさんいるじゃないですか。沖縄では放送していないんですけど、そういう話は聞いていました。ドラマから入ってくれた人もエンディングを聴いて「この曲を演奏しているのは誰だろう?」と少しでも引っ掛かりを持ってくれたら嬉しいなと思っています。

KEITA ドラマのシリーズ1、2と観て、今回は3。最初はファンとしてストーリーを観ていって、エンディングを自分たちが担当しているという事も忘れるくらい作品に夢中になりました。そこで曲が流れて「あ、そういえばエンディングやっているんだな」と実感した時は感動しましたね。

――今回のMVは美容院が舞台でしたね。

NANAE はい。今回は『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の主題歌という事だったので、劇中でムラサキを演じている木南晴夏さんに是非出て頂きたくてお願いしていたんですけど、忙しいから無理かなとも思っていて。でも、出演して頂ける事になったんです。

MICHIRU 正直無理かと思った(笑)。

MAIKO 忙しそうだもんね。

MICHIRU ストーリーは監督さんの案なんです。

KEITA 細かい設定は任せて「木南さんを使って泣けるものを」とお願いしました。

MICHIRU フルバージョン観たら泣けますよ。

MAIKO NANAEは実際現場に行って来たみたいです。

NANAE 見学に行ってきました。その時のシーンは、木南さんが涙を流す感動的なシーンだったんです。私が行った時は泣く場面だったので、現場は全員が“ピリピリ”してました。木南さんに声を掛けるのも躊躇するくらい真剣に入り込んでいて、私も緊張感を持ちながら観ていました。女優さんは本当に凄いなと思いました。どんなシーンでもその人になる。資格はないけど美容師みたいにハサミを持ったり、急に泣けと言われたら泣く。後で見返してぐっときました。私が観たのは撮影の一部分だったんですけどね。

――「きみがいるなら」の純粋さから、カップリング曲の「Yes or No」で<純情なんて忘れてたい♪>というサビが出てくるのも振り切りましたよね。

MICHIRU 振り幅ですね。狙いとしては、そういう感想を持ってもらうことなんです。7!!の曲は真っすぐな主人公がいて、真っすぐな想いを曲にするというのが多いんです。敢えて自分達らしくない世界観の曲を書いてみようかなと思って作曲したのがこの曲です。アレンジとかもストリングスというよりはギターロックで作っていきました。ライブでも凄く盛り上がります。もともとあったイメージはジブリ映画の『猫の恩返し』というアニメ。バロンという主人公の猫が女の子を色んな世界へ連れて行くんだけど。

MAIKO ベージュのスーツ着た猫?

MICHIRU そうそう。そこから女の子が、出会った男の人と自分の知らない未知の世界を旅してハラハラドキドキする気持ちを曲にしようと思ったんです。自分の中でマイナーコードで作るという事があまり無くて。Aメロの転調自体もマイナーで作っていたのに、勝手にメジャーにいっちゃったんです。だから狙ったっていうよりも自然にできちゃった感じです。いい感じになりました。

MAIKO こちらの曲は沖縄の世界遺産を応援するキャラクター「5jo(ごじょー)」のテーマソングになっています。アニメーションも沖縄芸術大学デザイン科の学生さんが作ってくれたんです。

MICHIRU だから元々はカップリングとして作った曲では無いんです。アルバムの中のフックになる1曲になればいいなという感じで。

――ということはアルバムも?

MICHIRU まだ未定ですが期待していてください。曲もガンガン出来て、ストックはかなり貯まって来てます。

――期待ですね。ところで、今回の作品はアーティスト写真でNANAEさんがタートルネックを着ていたり、沖縄のバンドっぽくないですね。

MAIKO いや、沖縄だって一応タートルネック着ますよ(笑)。皆Tシャツじゃないですよ。

NANAE 前作(『FLY/世界を回せ!!』)では、沖縄で撮影したりと夏の曲だったので、全体的に沖縄という感じを出してたんですけど。今回はそこにこだわりは無かったですね。

MAIKO 顔が沖縄だし。

NANAE 常にね(笑)。

MICHIRU 今回の衣装のテーマは、ドラマと掛けて「現代社会を旅するインディー・ジョーンズ」。

KEITA だからベージュだし、差し色にカーキを使っています。田舎から出てきた4人が東京のコンクリートジャングルを冒険するという。

過去一番悩んだ楽曲

KEITA(Ba)とMICHIRU(Gt)

KEITA(Ba)とMICHIRU(Gt)

――楽曲で思い出深いところはありますか。

NANAE 「きみがいるなら」に関してはレコーディング本番の時までに、かなり歌詞が変わっているんです。「サビの部分のこの行」や「この言葉」とか。だから結構コーラスとボーカルは大変でしたね、覚えるのが。

MICHIRU この楽曲に関しては過去一番悩んだと思っています。大きなテーマが「人との繋がり」と「未来に向かって進んで行く」。この2つをどう1つにまとめるのかという所で迷いました。レコーディング前にツアーでも演奏したんですけど、実際やってみて「あ、ここの歌詞ちょっと違うな」と思ったんです。録音前だから、まだ変えられるじゃないですか。だからNANAEちゃんにお願いして、歌詞を変えるというのを何度かやりましたね。今はおかげさまで納得したものができました。

――そうだったんですね。「Yes or No」に関してはいかがですか。

MICHIRU レコーディングしたのがだいぶ前なんですよね。もう1年くらい前で。

MAIKO この曲はライブで一体感を出す事に集中しています。サビ前のキメとかはズレると格好が悪いので、ライブでは皆で目を合わせて「ダーッダッダッダー」とやっています。それがビシっと合った時に「うぃー!」となったりとか(笑)。

MICHIRU 意外に難しいんですよ、この曲。楽器隊がまとまるのに時間がかかりました。

MAIKO リズムの切り替えも多いしね。1番終わりの間奏とか。

人生で初めて「消えたいな」と思った

NANAE(Vo)とMAIKO(Dr)

NANAE(Vo)とMAIKO(Dr)

――ツアーを終えての感想はいかがですか。

MICHIRU 今までのツアーの中で一番リラックスしてやれたなと思いました。単純に楽しかったですね。凄く良い思い出がたくさんあります。やっぱり、お客さんのありがたみをとても実感しました。新しい人ももちろん来てくれるんですけど、デビューの時からずっと来てくれてるお客さんもいまだにいてくれて。それでも、目を輝かせて「良かったよ!」と言ってくれるありがたさを感じましたね。

MAIKO それはめっちゃ思いました。今回の新曲も「人の絆」とか「支えてくれる人の存在」を歌っているじゃないですか。うちらにとってその存在はファンの皆さんだろうなって。ずっと寄り添ってくれる。演奏中は緊張もあるんだけど、その中に「ありがとう、みんな」みたいな気持ちもあって泣きそうになる時もありました。

KEITA 沖縄でファイナルだったんですけど、「えっ、ここでMAIKO泣くの?」というところで泣いてて。

MICHIRU 終盤のめっちゃ盛り上がるアップテンポな曲の時にね。

MAIKO 凄く嬉しくて。結構初期の曲「スウィート・ドライヴ」だったんですけど。その時はまだファンもいなくて、当時のツアーも集客にすごい苦労したんですよ。それでも一生懸命応援し続けてくれる人たちがいて。今ではツアーファイナルの沖縄まで遠征してくれる人もいるんです。皆、チケット以上のお金を使って飛行機で来てくれるし「こんなに支えてくれる存在いないよな」と思ったら涙が出てきて。

NANAE いつもいるはずなのに、サビのコーラスとかいないんですよ(笑)。

MAIKO 歌えなくて。それで泣いてたら、自分のドラムが格好良いキメの部分でミスってたんです(笑)。涙でおかしくなっていて。いや、でも悔いなし。楽しかったです。ライブを通して、皆のおかげだなって凄く思いました。

KEITA ツアーは無事に終われてよかったです。ツアー前は本当に大変で、「本当に行けるのか」と。MAIKOもケガから復帰して、ようやくスタジオに入り始めたのがツアー2週間前。そしたら今度はNANAEが喉を壊して、全然歌えなくて。

NANAE リリースイベントが続いて、酷使しすぎてしまったんです。長期間で休めるタイミングが無くて、だましだましやっていたらずっと治らなくなってしまって。今回のツアー、私は一番つらかったですね。

KEITA でもやるのか、飛ばすのか、判断しなければいけない。なので、NANAEをどこかで休ませる時間を作ったり、調整しました。リハも福島で合宿だったんですけど、NANAEは極力歌わないで温存してもらって。そんな事があってからのツアーだったので、無事に終われたのが奇跡的です。何カ所かやって駄目だったら、残りをキャンセルするという選択肢もありましたし。だから、ひとまず終われてよかったです。

NANAE 私も自分の体だけどどうなるか解からなくて。無理して出して出るなら良いんですけど、出ないじゃないですか。だから人生で初めて「消えたいな」と思いました。つらかったはつらかったんですけど、私が喉を壊したことによって色々な人が助けてくれた。「きみがいるなら」じゃないですけど、支えとか絆っていうものを感じましたね。MAIKOの話していたファンの皆さんももちろんですけど、私は身近な人が大事だなって今回は思いました。

――NANAEさんは前回のインタビューで「横浜が第2のホームだ」とお話しされていました。地元・沖縄と横浜、2つのホームでの演奏はどうでしたか。

NANAE 横浜というか関東は毎年まわっていますし、色々な所から遠征して来てくれたり、規模も大きいところなので緊張感はあったんですけど楽しかったです。反応も皆返してくれましたね。沖縄は自分が生まれ育ったところなので、家族とかお世話になった人が来てくれてたりとていうまた違う緊張感がありました。照れくさいというのも少しありました。

紅白は出たいから観たくない

MICHIRU(Gt)とNANAE(Vo)

MICHIRU(Gt)とNANAE(Vo)

――クリスマス・イブにもライブ『毎日がクリスマス2016』が横浜・赤レンガ倉庫でありますね。

MAIKO 予定ないから、むしろ仕事があったほうが。

NANAE 大歓迎です(笑)。イヴだけじゃなくて、クリスマスが問題なんですよね。

KEITA 僕はどっちでもいいかな。

MICHIRU クリスマスにライブが入るのは結構ありがちなんですよ。なので、普段通りかなって。

――年越しの過ごし方は。

KEITA ライブは無いですね。元旦にライブはありますけど。

MICHIRU 紅白とかは見たくないな。絶対見ない。

MAIKO 出たいから、見たくない。

――では、今年を振り返っていかがでしたか。

MAIKO 今年の目標が「心身ともに健康」だったのにも関わらず、事故をしてしまい(笑)。ご心配とご迷惑をおかけした年だと思うので、あと2016年残り2カ月は慎重にケガをしないように健康的な年越しができたらと。

NANAE 私も一番は喉を壊してしまったことが大きいですね。壊さない様にはしているんですけど、そこばっかりはわからないところでもあります。来年は健康的な日常を心がけて生活したいと思います。健康でいる事って本当に大事なんですよ。

MAIKO “ジジババ”バンドみたいになってるけど、やっぱり体が資本だからね。

MICHIRU あと今年は念願のドラマ主題歌を担当できたってことで、もう大満足ですね。音楽をやっていてドラマで楽曲が流れるのって1つの目標じゃないですか!? でも「もうちょっと曲が書けたな」というのもあります。来年はもっと創作意欲を爆発させて、良い曲をいっぱい作りたい。

KEITA 僕は個人的に新しく始めたウッドベースだとか、自分で作ったアレンジを提案したりだとかが凄く楽しかったです。ウッドベースはツアーファイナルで披露できたし、来年に向けてやれる事が増えてきたなと。来年はその始めた事をもっと形に残せる年にしたいと思います。

ツアーは当初、乗り越えられるか不安だったという

ツアーは当初、乗り越えられるか不安だったという

――バンドとしての来年の展望は。

NANAE バンドとしては来年新しくやることといえば、ゴールデンウィークくらいにイベントをやるという計画が進んでいます。第1回目なので成功させたいなと。

MICHIRU フェスになればいいかなと。結構規模は大きくやりたいと思います。

KEITA 色々予定があるので、年明けてからもあまりゆっくりはできないですね。

――フェス楽しみです。最後に読者にメッセージをよろしくお願いします。

NANAE 今回「絆」をテーマに書いた曲で、私たち自身たくさんの仲間に支えられてここまで来られました。是非これを聴く皆さんにも大事な人、大切な人を思い出しながら聴いてほしいなと思います。それから、ライブもたくさんしますので是非生の7!!に会いに来てほしいと思います。

(取材/撮影・小池直也)

作品情報

7!!「きみがいるなら」
2016年11月23日(水)発売
▽初回生産限定盤
ESCL-4751~2/1667円(税抜)
仕様:CD+DVD
収録曲:
1.きみがいるなら(テレビ東京系ドラマ24「勇者ヨシヒコと導かれし七人」エンディングテーマ)
2.Yes or No(7!!×「沖縄世界遺産物語~5人のジョー~」沖縄の世界遺産応援キャラクター「5jo」テーマソング)
3.きみがいるなら
4.きみがいるなら<Instrumental>
DVD:きみがいるなら(Acoustic ver.)Music Video+メイキング映像
▽通常盤
ESCL-4753/1,111円(税抜)
仕様:CD(初回仕様のみデカラベルステッカー付き)
収録曲:
1.きみがいるなら(テレビ東京系ドラマ24「勇者ヨシヒコと導かれし七人」エンディングテーマ)
2.Yes or No(7!!×「沖縄世界遺産物語~5人のジョー~」沖縄の世界遺産応援キャラクター「5jo」テーマソング)
3.きみがいるなら
4.きみがいるなら<Instrumental>

ライブ情報

「毎日がクリスマス2016」
2016年12月24日(土)
横浜 赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
OPEN : 17:00 / START : 18:00
出演:7!! / コレサワ / Gacharic Spin / Opening Act:ちさ
チケット(全席指定)
前売4,000円(税込)/当日4,500円(税込)
※入場時ドリンク代500円別途必要
※未就学児童入場不可

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