青春とは甘い味!? それとも苦いもの
!?!? koma'nが『SEVENTEEN O'CLOCK』
に詰め込んだ7つの青春物語【インタ
ビュー】

今回は作家陣に、『抱いてセニョリータ』などの作詞を手がけたzopp、漫画『ヒロイン失格』を描いた漫画家の幸田もも子を迎え、ジャケット写真には「Schoolgirl complex」シリーズで支持を集めた写真家の青山裕企が担当。ボカロカバー曲『Calc.』も収録。この作品の魅力をkoma'nに聞きました。

koma'n インタビュー

『つまさき少女』の歌詞には「やられたな」と思いました


――約2年ぶりになるんですね。2ndミニアルバム『SEVENTEEN O'CLOCK』を作るに当たって、どういう狙いを掲げたのか、そこから教えてください。

koma'n:1stミニアルバム『Pastel Penguin』を出してからの2年間の中、ROOT FIVEとしての活動はもちろん、楽曲提供を含め、いろんな方たちと繋がる機会を重ねてきました。
僕は自分で作詞/作曲/編曲まで行なうので、一人で楽曲のすべてを完結させてしまうタイプ。良くも悪くも自分の世界観で統一されてしまうことから、他の方の刺激も受けながら楽曲を作れたらいいなという想いのもと、今回掲げたのが「コラボアルバムを作ろう」ということでした。

――そこから3人のクリエイターの方が登場したわけだ。

koma'n:そうなんです。もう1年くらい前からかな?!。「機会があったら一緒にやりたいね」ということで話を進めていた作詞家のzoppさん。3年くらい前からプライベートでの呑み友達である漫画家の幸田もも子さん。一度,対談の仕事でお会いし、その後も写真集の発売イベントに呼んでいただいたりと交流を深めてきた写真家の青山裕企さん。この3人を迎えて制作を行ないました。

――呑み友達を仕事に巻き込んでしまえるところがいいですよね。

koma'n:アーティストやクリエイターの方って呑むのが好きな人が多いんですね。僕自身もよく仕事を終えて近所へ呑みに行くことも多くて、そこでの繋がりは大切にしています。

――幸田さんが作詞をした『つまさき少女』の歌詞、めっちゃツボにハマりました。男性に振りまわされてそうに見えて、じつは女性のほうが男性をしっかりコントロールしている。同時に、相手のことを好きな気持ちが、乙女の告白ように赤裸々に見えてくる。あの歌詞を聴いたら、男としては「やられたなぁ」と思いながらも、改めてその子に惚れてしまいますよね。

koma'n:さすが少女漫画家だけあって目線が違いますよね。あの歌詞には僕も「やられたな」と思いましたし、「すごいな」「さすがだな」と思いました。僕、お酒を呑んでる幸田さんの姿しか見たことなかったんで、改めてその才能に惚れ込みました。

――幸田さんとは完全に呑み繋がりなんですね。

koma'n:そうなんです。いろんな漫画家さんたちが集まった自宅呑みに招かれて行ったこともあるんですけど、いまだに一度も漫画を描く姿は見たことがないです(笑)。逆に幸田さんも、僕が曲を作っている姿を見たことがない(笑)。完全に呑みだけで繋がっている関係ですからね(笑)。

――普段の幸田さんも『つまさき少女』に出てくるような乙女な女性なんですか??

koma'n:乙女ですよ。酒呑みだけど乙女です(笑)。ご自身で描いている漫画に登場する主人公も「昔の自分」と言ってるように乙女な方です。実際に呑んでるときも乙女と言いますか、酔ってくると「今、好きな人はいるの??」と聞いてきたりとか、幸田さんの過去の恋愛トークをしてきたりと、けっこう女子会的なトークをしてくる方ですからね。


こういう葛藤って女子にしかわかんない

――『つまさき少女』は、まさに乙女心全開な歌。それを男性であるkoma'nさんが歌ったわけですが、レコーディングのときはどんな心境でした?

koma'n:これまでも女性目線の歌詞を歌ったことはありましたけど、同じ女性目線でも、ここまでピュアな少女の心模様を歌うのは初めての経験でした。だから歌入れするときも、ちょっと可愛らしい歌声を用いながら、何時もよりも気持ちトーンを上げて歌いました。
最初は「僕が少女の目線で歌って、聴いた人たちに刺さるのかな?!」と心配もありましたが、身近な女性スタッフさんたちの評判は良かったんで、どんなリアクションが返ってくるのかが楽しみになりました。

――『つまさき少女』に記された好きな人に対する乙女な気持ちを読んだとき、koma'nさんはどう感じました?

koma'n:こういう葛藤って女子にしかわかんないことですよね、男としては、「あっ、そうなんだ」と思えば、「そんな価値観をぶつけられても」みたいに思いますけど。でも、こういう葛藤を抱えている女の子もまた可愛いなと思いました。お酒が好きな僕からしたら、「お酒とか煙草とかちんぷんかんぷん」という言葉はグサッときましたけど(笑)。

――主人公が少女ですから、確かにそこはわかんないことですもんね。

koma'n:そうなんです。10代の子やお酒を呑まない人たちからすれば、「お酒で交流を深める」とか言われても「何のこと??」状態じゃないですか。ましてその場に自分以外の女性がいたりすれば、やきもちを焼いてしまう気持ちもわからなくはないですからね。でも、そういうところも可愛いですよね。

――koma'nさんのファンは女の子が多いですから、きっと共感する人も多そうですね。

koma'n:僕のファンの子たちには女子中高生などティーンの方々が多ければ、幸田さんの漫画のファンの方も多いんです。そういった面では、とても良いコラボレートが出来たなと思っています。

――以前も、幸田さんとはコラボレートしていませんでした??

koma'n:二日酔いの歌のコラボシングル『今日を取り戻せ!』ですよね(笑)。幸田さんは漫画の連載ページでもみずから「酒呑み」と公言し、二日酔いでの失敗談をポエムのように書いたりしている方。それもあって、前に「このポエムに曲を付けてもらえないか?」と依頼を受け、それで二日酔いをテーマにしたコラボシングルを出したんですけど。その経験があったせいか、以前から「私、少女漫画家なんだよね。次はキュンキュンとした歌詞を書きたい」と言ってたこともあって、今回のコラボ企画と幸田さんの想いが合致したことから『つまさき少女』の歌詞をお願いしたという形でした。


「あの時代を彷彿させるポカリスウェットのCM曲を作ろう」

――幸田もも子さんが、胸をキュンキュンさせる乙女な恋愛ソングを書けば、もう一人の作詞家さんであるzoppさんは、収録した3曲ともすべて「終わった恋を振り返る悲しく切ない恋の歌」を記しました。

koma'n:zoppさんの手がけた歌詞は悲しい内容が中心になっています。今回収録した曲たちは、タイトルへ記した『SEVENTEEN O'CLOCK』のようにティーンズの恋心を記しています。10代の頃の恋愛や青春って、けっこう儚いじゃないですか。作品を作り終えたときにも、「zoppさんの歌詞はすべて失恋の歌だよね」という話をしていたんですけど。男性が恋愛の歌を書くと切ない想いを記してしまう気持ち、僕もすごくわかるんです。


――koma'nさんも、自分で恋愛の歌詞を書くと切なくなってしまう性格?

koma'n:前シングル『今日を取り戻せ!』のC/Wに収録したラブソングは割とハッピーな内容のように全部が全部ではないですけど、その気持ちは十分わかります。
ただ、twitter上にお酒の話題などくだらないことばかりを書いているように、そんな僕が失恋ソングを書いても、僕のことを知らない人には刺さっても、twitterを通して僕の日常に触れている人たちからしたら「twitterの人格と違う」「本当は絶対にそんなこと思ってないでしょ」と勘繰られそうで(笑)。だから、今回のように僕じゃない人たちに恋愛の歌詞を書いてもらう形なら僕も一人のシンガーとして歌えるし、聴いてくれる人たちの胸にもすんなり入っていくだろうなとは思っています。

――だから、みずから作詞をした『Fighteen!』は背中を押してゆく歌詞にしているんだ。

koma'n:そういう面もありました。それに、作詞をお願いする以上は、僕じゃ書けない気持ちを表現してもらいたかったんです。事実、幸田さんの書いた歌詞は作詞家の方とも違う、まさに漫画家さんだからこその視点で書いた内容じゃないですか。zoppさんとも、今回の作業へ入る前一緒にお酒を呑みながらいろんな話をしていきました。それこそ「合コンかよ」と勘違いするくらい、お互い深く打ち解けようと「自分の好きなことを」熱く語りあっていましたからね(笑)。

――zoppさんとkoma'nさんの共通項、とても気になります。

koma'n:一番深いところで重なったのが「FINAL FANTASY」と「SLUM DUNK」。じつはzoppさんとは、ミニアルバムの1曲目に収録した『潮騒エレジー』を、具体的に言うなら、「新しいシングルを一緒に作ろう」ということで打ち合わせをしていたんですよ。結局、シングルではなくミニアルバムという形になり、その結果、ミニアルバム用に3曲zoppさんには作詞を手がけていただいた形になりました。じつは『潮騒エレジー』の歌詞も、互いに好きなものを上げていく中から生まれたものなんです。

――そこ、具体的に教えてください。

koma'n:先にも伝えたように、僕はzoppさんとの共通項としてあった一つが「SLUM DUNK」でした。僕は学生時代にバスケ部に所属をしていて、zoppさんは留学時代によくストリートバスケをやっていた方。そこから、「バスケといえば「SLUM DUNK」だろう」「アニメで放送していた「SLUM DUNK」といえば、主題歌はビーイング系のアーティストだった」「ビーイング系といえば、全体的に夏っぽい歌が多いよね」「夏でビーイング系と言えばポカリスウェットのCMが似合いそう」「じゃあ、新しいシングルでは、あの時代を彷彿とさせるポカリスウェットのCM曲を作ろう」ということから誕生したのが『潮騒エレジー』でした。だから歌詞の最初に「ポッカリと空いた」と歌詞を記したように、そのポッカリはポカリスウェットのことなんです。zoppさんは、そういう遊び心も巧みに『潮騒エレジー』の歌詞に投影してくれました。

――だから歌詞も曲調も、何処か90年代っぽいんだ。さすがに『潮騒エレジー』を聴いて、バスケというイメージはまったく出てこないけどね(笑)。

koma'n:たしかに(笑)。言われたように『潮騒エレジー』はノスタルジー風な、何処か90年代の香りのする楽曲に仕上がりました。冒頭に流れるSAXの音色は、まさに当時のビーイング系サウンド風じゃないですか。この歌は、あの当時の音楽が好きだった人たちの心にもはまる楽曲になったなと思います。


変拍子を生かしたフュージョン系の楽曲に仕上げました


――zoppさんが手がけた『潮騒エレジー』『サクラノ下』『ヒトクリ』ともに切ない恋の歌。中でも、これからの季節に重なるクリスマスナンバー『ヒトクリ』は、失くした恋を思い返す思いきり切ない心模様を痛く掻き立てる歌に仕上がっていません??

koma'n:そうなんです。この歌をミニアルバムに収録したことから、今年のクリスマスは一人で過ごそうと決めました。

――そんな重荷を背負ってしまうんですか??

koma'n:重荷というよりも、それが『ヒトクリ』を歌った僕の宿命というべきか(笑)。「ひとりきりの Merry Chiristmas」と歌っているのに、クリスマスの日にtwitterへ友達とクリスマスパーティをして楽しんでいる姿を上げたら、この歌に対して失礼じゃないですか。

――そこは人それぞれの受け止め方にしておきますが(笑)、でも何でクリスマスソングには悲しい歌が多いんでしょうね。

koma'n:クリスマスソングに限らず、心が幸せに満ちているときって人はあまり音楽自体を聴かないと思うんです。逆に心が淋しかったり悲しいときほど歌に救いを求めたり、歌で心を助けてもらうことも多い。人は、切ない気持ちの歌に想いを寄り添えやすいんでしょうね。だから彼氏や彼女がいない人は、クリスマスの時期にこの歌を聴いて夜を過ごしてください。僕も、そうやって一人クリスマスの夜を過ごすつもりです。

――嬉しい意外性だったのが、ミニアルバムの中へインストナンバー『Giving You Another Name』を収録したことです。

koma'n:一度、音源としてインストナンバーを形にしたかったんです。この楽曲を作ったのは、僕の高校時代の同級生と一学年下の後輩。僕を加えた3人で『Giving You Another Name』を演奏したんですけど。3人ともけっこう歪んだ青春時代を送ってきたからこうなったというか…。

――それは、どういうことですか??

koma'n:今回のミニアルバムの根底を成すものであり、この楽曲のテーマとして掲げたのが「青春」。この曲を作る前に3人で「一口に青春と言っても、いろんな青春模様があるよね」という話をしながら「僕らの青春時代って歪んでたから、それを楽曲でも表現しよう」となり、変拍子を生かしたフュージョン系の楽曲に仕上げました。聴いてくれる人たちには、「この曲が僕らの青春なんだ」と捉えてもらえたらなと思っています。

――歌曲ではなくインストナンバーを演奏するのも、一人のミュージシャンという視点で捉えた場合やり甲斐のあることなのでしょうか??

koma'n:僕は元々、歌が本業ではなくピアノを弾くことがメインだったんで、自分の原点に戻った意識でした。もちろん、みんなと楽器でセッション演奏していくのはすごく楽しかったこと。まさに、これも僕らの青春なんですよ(笑)。


今回のブックレットでは、昔を懐かしんでいる、という感覚で撮影


――「初回盤B」には、今回の写真すべてを手がけた青山裕企さん撮影によるブックレットが収録になります。こちらも本作に於けるコラボレートの一つの形だけに、内容がとても気になります。

koma'n:写真家の青山さん自身がビレバン(ビレッジヴァンガード)に置いてあるような本やCDのように、サブカル色を感じさせる写真を得意としている方。僕を撮ってくださった写真にもその香りが含まれているように、とても内容の濃いブックレットが仕上がりました。

――青山さんと言えば女性を被写体に撮影するのが得意な方。その人が男性であるkoma'nさんをどのように撮影したのか!?、そこが見どころだなと予想しています。

koma'n:青山さんは女性の表情を撮影するのが上手い方ですからね。今回の撮影の舞台は学校になっています。じつは1stミニアルバム『Pastel Penguin』のときも、僕は制服を着て撮影をしているんですね。さすがに僕も制服は着れないなということから、今回は、学校を卒業し大人になった僕が母校に遊びに来ては、昔を懐かしんでいるというシチュエーションで撮影を行いました。その感覚でブックレットも楽しんでもらえたらなと思っています。

――タイトル『SEVENTEEN O'CLOCK』に込めた想いも教えてください。

koma'n:この言葉には、いろんな想いを重ね合わせました。それが17歳という青春時代を象徴する数字であったり、17時という昼でも夜でもない、ちょうど陽が落ちるその境目の時間帯が、思春期の不安定な気持ちと重なりあうことから想いを投影したり。いろんな含みを感じ取ってもらえたら嬉しく思います。

――最後に、今のkoma'nさんにとってミニアルバム『SEVENTEEN O'CLOCK』はどんな1枚になりましたか!?

koma'n:振り返れば、1stミニアルバム『Pastel Penguin』のときには、その当時の僕らしい、良くも悪くも荒々しくて刺々しくて、だけど初々しい自分の姿をそのまま映し出した曲たちを収録しました。あれから2年の歳月を経て、僕も少しは落ち着いてきたというか、無駄を削ぎ落し、よりスマートに、でも遊び心も入れながら楽曲を作れるようになりました。しかも、今の僕自身の中にある表現の幅広さも巧みに投影していけた。そんな、2年間の中で成長してきたkoma'nというアーティストの姿を投影出来た作品になりました。ぜひ、聴いてください。

TEXT:長澤智典

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