選曲のエキスパート“ミュージックソムリエ”があなたに贈る、日常のワンシーンでふと聴きたくなるあんな曲やこんな曲――。間もなくハロウィンナイト、今回は「仮装パレードでかけたい曲」です。

1.「えんとつ町のプペル」/ 西野亮廣

●ハロウィンの夜にやって来た心優しいゴミ人間
今年のハロウィンに合わせて発表された『えんとつ町のプペル』という絵本がある。人々が仮装した町に、悪臭をはなつ「ゴミ人間」が現れて―― ひとりの少年の出逢いが生み出す物語は、書店やamazonで異例の大ヒットを記録している。
絵本と共に作られたのが今回ご紹介する一曲だ。 パレードにぴったりな楽しげな曲が、「ゴミの体の奥に眠るハート」を美しく歌いあげている。 いつも表面ばかりで相手を判断しがちな筆者も、自分を恥ずかしく思った。
作者の西野亮廣さんは、 ハロウィンの夜にゴミだらけになる渋谷で、翌朝の清掃イベントを発案、実行。 「渋谷が1番綺麗なのはハロウィン翌日!」と世に言わしめた。マルチな奇才が4年半もの時間をかけて造り上げた『えんとつ町のプペル』の世界。 今年のパレードはこの1曲のリピートだけで十分である。(選曲・文/今井義明)

2.「They're Coming To Take Me Away,
Ha-Haaa!」/Napoleon XIV

●パレードで埋もれない「なんちゃって狂気」
せっかくの仮装パレード、奇抜な選曲で目立ちたいもの。今回はハロウィンらしくホラー風味で楽しい曲を探してきました。1966年に発表されて、当時全米3位のヒット曲となったナポレオン14世(正体はレコーディングエンジニア)による「狂ったナポレオン、ヒヒ、ハハ」。愛犬を失った男が徐々に正気を無くしていく様子を描いたマーチ風コミックソング。要所で発せられる「ヒヒ、ハハ」の所でポーズを決めて、「ホラーな集団」を演出すれば、観客はもう夢中です。
(選曲・文/旧一呉太良)

3.歌劇『ファウスト』より「金の子牛は
常に生きて」/ニコライ・ギャウロフ

●悪魔のように横柄かつ堂々と!
グノー作曲のオペラアリアです。舞台は祭の市が立つ広場。悪魔であるメフィストフェレスが現れ、堂々とした歌声を披露します。前奏を聴いただけで、あやしく不吉な雰囲気が感じ取れますね。
街の人々による合唱も入り、曲調は徐々に盛り上がって終盤へ至ります。テーマからして仮装の練り歩きにぴったりで、乗れること間違いなし。
歌唱は、ニコライ・ギャウロフ。頭頂からまっすぐ空に伸びるように声を響かせ、生き生きとした空気の流れを作り出します。バス歌手に、こんなに華やかな表現ができるなんて感激です。ぜひ、ご一聴ください。
(選曲・文/山本陽子)

4.「メリー・ウィドウ」/レハール

●トリック or トリート!? 恋も遊びも陽気に駆け引き
ハロウィンの夜、子供たちは「トリックorトリート?」――お菓子をくれないとイタズラしちゃうよ!と家々を巡り駆け引きしますが、オペレッタ「メリー・ウィドウ」は、大人の恋の駆け引きの物語。
ヒロインはとある富豪の未亡人。国外の男性と再婚すると莫大な財産が国外に流失し、国が破綻してしまう。これを阻止するためにイケメンの刺客が送られて……というお話です。洗練された美しいワルツ、陽気なメロディー、思わず踊りたくなる楽曲の数々には、レハールらしいウィンナ・オペレッタの魅力が凝縮されています。
公式動画では、有名なワルツ「恋ごころ」に陽気なリズムの音楽が続きます。駆け引きはほどほどにして、さぁ皆さんも一緒に踊りましょう♪
(選曲・文/堀川将史)

5.「Hi-Ho」/hide

●サンバとロックを融合させた生前の名作
1996年に発表されたアルバム『PSYENCE』収録曲。祝祭感をイメージしたような楽曲は、X JAPANとまた違う形の盛り上がりをライブで見せていました。ハロウィンという時期でなくても、仮装パレードにはもってこいの一曲ですね。
ちなみにステージでは上半身裸の女の子が踊るのが恒例。PVでもその様子がバッチリ映っています。この曲が象徴ですが、エロティシズムもhideのソロワークでは、語るに欠かせない要素ではないでしょうか。
(選曲・文:Kersee)

6.「Trick or Treat」/MAN WITH A MI
SSION

●年に一度のこの日!弾ける気持ちが溢れるナンバー
頭は狼、体は人間の究極の生命体、MAN WITH A MISSION(以下MWAM)。2011年に発表したセカンドミニアルバムでは、ハロウィンをテーマにした曲が収録されています。重量感あるバンドサウンドがカッコいいMWAMですが、この曲ではカッコよさと共にポップで可愛い雰囲気が漂います。”ハロウィンの夜はみんなで、踊って歌って騒いじゃおう!”という気持ちに火をつけてくれます。コスプレは、MWAMにあやかってオオカミの格好も良いし、誰かとペアで赤ずきんちゃんとオオカミも良いかも!ハロウィンパレードも踊りながら進みたくなります。
ハロウィン、楽しいけどハメを外し過ぎずないように、ね。
(選曲・文/石井由紀子)
さて、お気に召した選曲はございましたか。
ぜひこれを機にCDやレコードなどの音源でも、各曲をお楽しみいただければ幸いです。
それでは、ハッピーハロウィン♪

著者:NPO法人ミュージックソムリエ協会

OKMusic編集部

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