SHIMA サポートアクトながらも強烈な
インパクト残す





3連休の初日、開演前から熱気に包まれていた会場。そこにガッツポーズを掲げ、笑顔を浮かべながらステージに登場したYUSUKE、SHINYA、明生。彼らが楽器を手にし、スタンバイOKとなると、ハットを被ったEGACCHOが猛ダッシュで現れる。そして「(バンドでは)初となる代官山UNIT。初めましての人も多いと思いますが、壁を作らないで楽しみましょう!」とシャウトし、パフォーマンスがスタートする。いきなり天を突き抜けるような鋭さのある音をかき鳴らし、観客は呆然とした様子だ。そのリアクションにEGACCHOは「全然オレたちのドカーン感についてきていない!」と煽り立て、ハットを落としチャームポイントの(?)ロングヘアーを振り乱しながら、会場のテンションを高めていく。すると、自然にフロアにはモッシュの渦が生まれていったのだった。その勢いに乗って、EGACCHOはさらに調子に乗り(?)途中では地元名物の「博多よかねぎ」の小口切りをイメージしたという振り付けを披露したり、また1990年代にヒットしたJ-POPソングの替え歌に乗せてコール&レスポンスをするなど、ユーモアを交えてあっという間にサポートアクトとは思えないほど、観客との心の距離を縮めていったのだ。





だが、最も観客を釘付けにしていたのは、その音楽性にあると思う。SHINYAの重低音なスクリーム、YUSUKEが轟かせるメロディアスなボーカルやギター、その間を蝶のように自由に羽ばたくEGACCHO、個性豊かな3人のフロントをしっかり支えるグルーヴを描く明生、一人一人のキャラクターが確立されていて、かつそれらをバランスよく表現しているところが、とても面白い。彼らのことを「メロディックでハードコア」と評されることが多いけれど、それ以外にもスカーッとした青空が見えてくるほどの爽快さや、胸をキュンとさせるような旋律など、あらゆる感情や音を楽しめるのである。しかもどの楽曲も3分程度という潔さ。結果的に、次にどんな展開が待ち受けているのかわからない、ジェットコースターのような感覚を疑似体験できたような気分になるのだ。そう、音楽のアミューズメントパークなのである。だから、楽曲を知らない観客もあっという間にSHIMAワールドに引き込まれて、笑顔になっている様子がうかがい知れたのだった。MCにてEGACCHOは「バンドを結成した当初は、モテたいとかお金持ちになりたいという思いが強かったけど、(さまざまな場所でライブを経験していくうちに)今では人と会えること、喜んでもらえている顔を見ることが大切と思えるようになってきた」と語っていたが、彼らの真摯な思いが楽曲を演奏していくごとに、しっかりと多くの人の心に刻まれていた気がする。





ラストには最新アルバムからの楽曲を披露。彼らのライブではおなじみの「ZMS(ザイマス=ありがとうございますの略)ジャンプ」をレクチャーし、一体感を生み出したなか、ステージを颯爽と去っていった4人。わずか30分程度のパフォーマンスであったが、ここでも強烈なインパクトを多くの人に残していったと思う。

来年(2017年)1月21日には、現在敢行中の全国ツアー『SHIMA 1st Full Album『-WRAINBOW-』 Release TOUR 2016』のFINAL SERIESとして、再びこの代官山UNITのステージに立つことが決定した、SHIMA。次はさらなるスリルと興奮、そして笑顔が溢れる「伝説」が築かれるに違いない。

取材・文=松永尚久



イベント情報SHIMA 1st Full Album -WRAINBOW- Release Tour
 日程:2016年10月以降
 会場:全国各地
 出演者:SHIMA 他

 

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