芸術の秋!バレエ音楽を聴いて劇場に
行ってみよう

選曲のエキスパート“ミュージックソムリエ”があなたに贈る、日常のワンシーンでふと聴きたくなるあんな曲やこんな曲――今回は「芸術の秋!バレエ音楽を聴いて劇場に行ってみよう」です。

さて、やっと暑さも和らいできた9月の終わり。芸術の秋として、今年はぜひ、劇場でバレエを鑑賞してみませんか? 5歳からバレエ漬けの、いわば“バレエ・ミュージックソムリエ”から、この時期にぴったりのバレエ作品とその楽曲をご紹介します。

1.「眠れる森の美女」/ピョートル・チ
ャイコフスキー

バレエを初めて観る方にオススメなのがこれ。実は、ディズニーアニメ『眠れる森の美女』の劇中音楽は、バレエ作品と同じもの。舞台を観ていると(この曲知っている!)と思う場面が沢山あり、親しみがわきます。アニメ版とバレエでは、同じ音楽でも使用しているシーンが異なりますので、その違いを観察するのも楽しいですよ。
衣装や舞台装置の美しさに注目して下さい。子どもの頃に憧れたお姫様の世界が広がっています。とくに、王子と姫の結婚式のシーンでは、赤ずきんちゃんと狼が出てきてお祝いの踊りを披露するなど、誰もが知るおとぎ話の世界にうっとり、豊かな時間が流れます。
ちなみに、最近話題のマシュー・ボーン版は、同じ音楽でも全く違う世界観が描かれています。これはこれで面白い!と驚きと感動の舞台でした。

2.「白鳥の湖」/ピョートル・チャイコ
フスキー

バレエ作品の代表格と言われる作品です。ざっくり言うと、呪いをかけられて白鳥になった姫と、その姫に一目惚れした王子が出てきます。姫の呪いを解くには男性からの求愛が必要で、王子は我こそがと挑みますが、悪魔のワナによってニセの白鳥姫(黒鳥)に求愛をしてしまう……さて、この2人の運命やいかに、というお話です。
たくさんの白鳥役のダンサーが踊る第2幕が有名なので、静かなバレエというイメージがあるかと思いますが、「白鳥の湖」の魅力はそれだけではありません。個人的には第3幕は躍動感があり、とても好きです。王子の城で行われた舞踏会に、ニセ白鳥である“黒鳥”が登場し、王子を誘惑するのですが、この踊りがとにかく魅力的。「32回グランフェッテ」という大技も見られます。
実は、白鳥と黒鳥は同じダンサーが踊るのが通例。清楚な白鳥と妖艶な黒鳥の演じ分けや踊り分けを観るのが、とても楽しいです。

3.「くるみ割り人形」/チャイコフスキ

「眠りの森の美女」と「白鳥の湖」とともに、チャイコフスキーが作曲したのが「くるみ割り人形」です。この3作品は、チャイコフスキーの三大バレエとも呼ばれています。こちらの音楽は、TVCMなどでも使用されることも多く馴染みがあるものも、沢山あるかと思います。
この作品は一言、「カワイイ!!」。
第1幕のクリスマス・イヴの邸宅に飾られたクリスマスツリーなどの舞台装置はもちろん、第2幕のお菓子の国の登場人物たちの衣装や舞台の様子にも注目してください。お菓子モチーフのものがたくさんあり、観ていると童心に帰れます。楽しい音楽に身を委ねて可愛らしい世界を観てください。
「くるみ割り人形」は、クリスマス時期の作品ですので、これから各バレエ団の公演があります。シーズン的にも、オススメの作品です。

4.「ドン・キホーテ」/レオン・ミンク

えーっと、“驚安の殿堂”ではありません。念のため……。
こちらも、ファンが多い作品です。スペインを舞台にしたお話で、ベースになっているのは、セルバンデスの小説『ドン・キホーテ』です。タイトルこそ同じですが、劇中でメインになるのは、若い男女の恋物語です。
なによりもカラッと明るいストーリーと、躍動的な音楽や踊りが魅力です。スペインが舞台なので、フラメンコのようなダンスが出てきたり、衣装も赤と黒の情熱的なものが多かったり、と目でも耳でも楽しめます。
ちなみに、第3幕の結婚式のシーンでは「白鳥の湖」と同じ、“32回グランフェッテ”という大技を見ることができます。
ゆったりと優雅に観るというよりも、ダイナミックな踊りを楽しんだり、たまに登場してくるドン・キホーテの天然っぶりに笑ったりと、見終わると元気になる作品です。
さて、バレエ愛たっぷりの曲紹介、お気に召した作品はございましたか?
ぜひこれを機にCDやレコードの音源で聴いて、劇場にも足を運んでみてください。
それでは、みなさんもステキな芸術の秋をお過ごしください。

選曲・文:石井由紀子
編集:吉川さやか
出典:ミュージックソムリエ協会staff blog
ミュージックソムリエ養成講座

著者:NPO法人ミュージックソムリエ協会

OKMusic編集部

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