メンバーへのラブソングも? セプテ
ンバーミーが最新ミニアルバム「絶対
的未来奇譚」に込めた思い【インタビ
ュー】

UtaTenでは、ドイヒロト(Vo, G)、タナカ・ターナ(G,Cho)の2人にインタビュー。新体制、47都道府県ツアー、アルバムについて等を赤裸々に語っていただきました。


新メンバー、タナカ・ターナとセプテンバーミー
――でははじめに、タナカさんの自己紹介ではなく、ドイさんから見たタナカさんの他己紹介をお願いします!

ドイヒロト(以下、ドイ):タナカ・ターナという男ですが、俺はギタリストでタナカのギターが一番かっこいいと思っています。日本で一番かっこいいライブをするバンドのギタリストです。それに尽きます!


――ドイさんがかっこいいと思うのはどんなところ?

ドイ:元々は対バン相手だったんですけど、タナカのギタープレイを見て感情というか、心を揺さぶられたんですよね。
“上手いな”とか“良いギタリストだな”って思う人はたくさんいるんですけど、感情にグイッと踏み込んでくるギタリストっていないんで、唯一無二の存在だと思っています。


――対バン仲間だった方をメンバーに迎えることがまたあったんですね!(笑)

タナカ・ターナ(以下、タナカ):(笑)

ドイ:確かにそうですね(笑)、引き抜いてないのはベースくらいです。


――タナカさんは先ほどドイさんに“感情を揺さぶられる”と紹介されていましたが、意識していることがあったりするんですか?

タナカ:恥ずかしいんですけど…ギター持つと自分を解放できる感じがあって、今出せることを精一杯やるぞっていう気持ちでライブやっているんで、そういったところが響いたのかなって思います…(照)


――普段は自分の感情はあまり外に出さないタイプなんですか?

タナカ:そうですね。基本は人見知りだしあんまり喋らないんですけど、音楽の話をしてる時だったりギターを持ってる時は、自分を出せる感じです。


――自分を出すこととか感情を楽器で表現することに関して、セプテンバーミーのメンバーとしてやっていくのはいかがですか?

タナカ:ライブに関して言うと、ドイさんのことをフロントマンとして信頼しているんで、本当に俺はただ自由に楽しく自分の今できるとこをやるっていうだけです。ちゃんとしたフロントマンがいるからこそできることだと思います。


――リスペクトし合っているんですね。休日はあまり一緒に過ごすことがないって前回のインタビューでおっしゃっていましたが、タナカさんとも例外なく休日は別行動なんですか?

タナカ:バンドでいることが多いしね。

ドイ:バンドで一緒にいすぎるから休日までは…(笑)。でも、一緒にライブ見に行こうっていうことはありますね!


――観に行くライブはやっぱりバンドが多いんですか?

ドイ:そうですね、バンドが多いです。でも今年Superfryとかも行きました!


――少し話は戻りますが、初対面の印象とかって覚えていますか?

ドイ:もともとタナカのバンドは知ってたんですけど、出会ったのは2013年とかで、初めて対バンした時に“バンドって勝ち負けはないけど、勝負ってのはあるんだな”って思わされました。そこでのタナカの存在感が本当に大きかったんです。
当時のギターが抜けて、誰か一緒にやりたい奴いるか?って話をメンバーでした時に、一番最初に名前が上がったのがタナカでした。そこからサポートに入ってもらうようになった感じですね。


――声をかけられた時はいかがでしたか?

タナカ:自分がやっていたバンドは自分がリーダーとして動かしているバンドだったんですけど、そういうのを抜きにしてギタリストとして評価されたのが嬉しかったです。
バンドを動かすとかそういうんじゃなく、ギターを弾くだけのバンドっていうのに興味があったんで、嬉しいのが一番だったし。やってみようって思いました。


――タナカさんが加入してからの楽曲制作について聞きたいんですが、ギターアレンジはタナカさんの感性で自由にやっている感じなんですか?

タナカ:そうですね、結構自由にやらせてもらっていて、「こんな感じで大丈夫ですかね?」って確認をとりながら、ギターのアレンジを進めています。


――なかなか低姿勢で行くんですね!

タナカ:曲を作っているのはやっぱりドイさんなんで。

ドイ:基本は丸投げなんですけど、返って来たものに対して「それいいね」だったり「もうちょっとこう言う感じにして」とか言うような感じですね。


――タナカさんから見たドイさんは怖いですか??

タナカ:年上っていうのもあるけど…やっぱりリーダーだし、ヴォーカルって基本どこも変わっている人が多いんですよ。気難しいっていうか。ドイさんも…機嫌悪い時は怖いなって思います(笑)。

ドイ:生きていたら機嫌悪い時もありますよ (笑)。


「絶対的未来奇譚」とは

――そういえば前回「Godspeed you!」のインタビューの時とアーティスト写真もガラッと変わりましたよね。何か心境の変化があったんですか!?

ドイ:昨年47都道府県ツアーを行ったのですが、1年で124本ものライブをして、いろんな人と触れる機会が多くて。ステージにあがることの貴重さとか、いろんな地方のライブハウスで出会った人の努力を間近で感じて、出会った人達に感謝できた経験をしたことですね。


――そういった経緯があって学生服を脱いだわけですね!

ドイ:そうですね、もう卒業かな〜?みたいな(笑)。

タナカ:(笑)

ドイ:やっと卒業できました(笑)。


――卒業おめでとうございます!47都道府県ライブですが、3日に1回となると相当ハードな1年だったんですね。

ドイ:きつかったですね〜。タナカはサポートでちょくちょく来てもらってて、最後の1ヶ月はメンバーとして周りました。


――今回リリースしたアルバムを制作しながらツアーを周られたんですよね?収録曲全曲が新曲?

ドイ:6曲目の「CR シュレディンガーの猫」だけツアーが始まる前からある曲です。それ以外はこの1年…なんなら今年に入ってから作った曲もあります (笑)。



――アルバムのタイトル、これはなんて読むんですか?

ドイ:難しいですよね、「絶対的未来奇譚(ぜったいてきみらいきたん)」です。奇譚って言うのは、珍しい物語っていう意味なんですよ。この4人で活動していくことが特別なことだなと思って。そんな4人の未来の物語だよっていうことを「絶対的」を付けてもっと強いものにしました。


――今回のジャケットも岸波さんが描かれていますけど、タイトルとジャケットとアーティスト写真に共通するテーマみたいなものはあるんですか?

ドイ:共通するテーマは多分、タイトルにある通り“未来”っていうのが一番なのかなって思っています。前回の『Goodspeed you!』の時はどちらかというと“別れ”みたいなものをテーマにしていたんですけど、今回は未来のこと、これからのことを歌いました。


怒涛の47都道府県ツアーは「気が狂っていた」
――47都道府県ツアーで印象に残っている出来事ってありますか??

ドイ: 47都道府県どれも思い出があるのですが、各地の県民性が出るので“こんなに地域によって変わるんだ”って思いましたね。その中でも取り上げるとすれば、北海道と鹿児島が印象的でした。
本州最南端と最北端なので、ようこそ来てくれました!って感じの熱量がすごくて。どこに行ってもそういう反応は感じられるんですけど、みんながツアーで組む都道府県以外ってものすごくその想いが反応で伝わってくるんですよね。そういった意味でスゴいなって思ったのが北海道と鹿児島でした。


――タナカさんは今回のツアーの中でご自身が参加されたライブはいかがでしたか?

タナカ:自分は正式加入したのが今年の3月だったんですけど、3月は特にライブの本数が多くて。2週間くらい家に帰れませんでした。空き日にもこのアルバムのレコーディングがあったし、バンドに入ったばかりだから練習も多いし、ってことで本当に毎日音楽をやっていて。それが理想だったから楽しかったんですけど、今思い返すとちょっと気狂ってんなって(笑)。
“スゲェバンドに入っちゃったな”って思いました(笑)。

ドイ:普通なら「今なら笑えます」とか言えるんだろうけど、思い出すとドンヨリするよね(笑)。


1番制作が大変だった楽曲がタナカへのラブレター。
――そんな中で製作した曲たちですが、一番大変だった曲とかってありますか?

ドイ:一番大変だった曲が7曲目の『New World Order』ですね。
この曲はタナカがバンドで初めて作った曲で、俺も人が作った曲に歌詞を乗せるのが初めてだったんで、凄く大変でした。どっちかというと自分のマインド的なものが難しくて、それこそさっきタナカが言ってたような気難しさを発揮しちゃって(笑)。
レコーディング中のタナカとベースの会話で、この曲が星野源さんからインスパイヤした曲なんだっていうのが聞こえてきて。その時に俺は、そういう曲歌いたくない、ちゃんとタナカのオリジナルじゃないと嫌だ!って思ったんですよね。「初めて付き合う人はこういう人じゃなきゃ嫌だ!」っていう感覚に似ていて。それで「俺は歌わないからドラム歌って!」っていうモードになってしまいました (笑)
そこからタナカとも色々話したし、エンジニアさんに「世の中にいくつしかないコード進行の中で曲って作られるもんだし、タナカくんくらい音楽的な人が作る曲は、ちゃんと自分の中で消化されているもんだよ。」っていう風に諭されて納得して。


――そういう想いも受けて、タナカさんはいかがでしたか?

タナカ:俺の最初の伝え方がよくなかったとも思うんですけど、本当にめちゃめちゃ考えて作ったものだったからそう言われて“めんどくせー!”って最初は思いました(笑)。メンバーになれたからこそ突っ込んでちゃんと話し合えて、よりこのアルバムがいいものになったんじゃないかなって思います。


――ドラムが歌って!って最初思われていたそうですけど、実際アリだったんですか?

ドイ:具体的な話にはならなかったですけど、独裁政治にならずに民主主義でありたいんで、みんながアリだと思うならって感じですね。せっかく女の子がメンバーにいるんで。


――タナカさんは歌いたいなって思います?

タナカ:いや、俺は一切思わないですけど、岸波ボーカルもナシではないなって。

ドイ:せっかく女の子がいるバンドなんで、そういう声を活かすのもいいかなって思うし、他の曲でコーラス入ってもらってたりもするんで、今後もしかしたらあるかもしれませんね。


――ではタナカさん、『New World Order』のこだわりについて教えてください!

タナカ:4人になったことによってこのアルバムからセプテンバーミーを変えていくんだぞっていうのがアルバム制作始まった時からあって。頭の中でベースもドラムも“こういうのがいい!”っていうのがあったので、割と指示してやってもらいました。結果、今やりたかったことができたと思います。1サビ後の「決まりきった世界、壊そうよ」のコード進行は相当こだわってるんで、聴いてさらに“切ないな”って思ってもらえたら嬉しいです!


――作詞はいろんな葛藤もあったかと思うんですが、どういう想いで書いていったんですか?

ドイ:この曲はタナカの曲だって思っていたし、途中話し合いだとかもあったので、タナカに対する想いを書こうと思いました。
例えば冒頭の「木星に住む 君と出会って3年」っていうのは、タナカが前にやっていたバンドの曲で『木星のマリ』っていう曲があるんですけど、そこから取ってきたり。「出会って3年」っていうのも、本当に出会って3年経った俺らのことを歌ってます。その次の「言葉は通じないけど」ってところは、タナカとは本来好きな音楽のジャンルは違うけど、っていう意味があって。ほんの2行だけど詰め込んだ部分ですね。


――もう、ラブレターみたいですね!

ドイ:そうですね(照)。

タナカ:この歌詞読んだ時、凄く嬉しかったです。“多分、俺のことだ!”って (笑)。



――タイトルにはどう言った意味を込められたんですか?

ドイ:パッと見、ディズニーっぽいんですけど…(笑)。“新世界秩序”っていう意味があって、詳しく調べていくとオカルト的な要素も入っているのがわかると思います。


――『unicorn』もタナカさんが作曲されていますけど、この曲はどういったこだわりがあったんですか?

タナカ:元々、身体が揺れて情景が浮かぶような気持ちがいい音楽が好きで、曲作りは自由にやっていいって言われていたので、得意とするというか、好きな音楽をやらせてもらった感じです。

ドイ:情景が浮かぶような音楽は俺もすごく好きだし、歌詞はこの曲を聴いた時に出てきた単語をひたすら出し続けて、その中から厳選した感じで作っていきました。


「全力!脱力タイムズ」主題歌となった『彼女inワンダーランド』

――フジテレビ系全国ネット「全力!脱力タイムズ」の主題歌になった『彼女inワンダーランド』ですが、この曲はどう言ったイメージで作られたんですか?

ドイ:この曲は、女の子が男の子にハマっていく様を描いた曲です。女の子ってダメな男の子だってわかっていてもハマってしまうじゃないですか。その抜け出せなくなっていく感じが「アリス・イン・ワンダーランド」っぽいなって思ったんで、タイトルはそのオマージュ的な感じで付けました。


――この曲のサウンド面でこだわっているところは?

ドイ:自分の気持ち良いところを常に探して歌っているので、どの曲もその姿勢は変わらないんですけど。気持ち的な面で言うと、タナカが加入して最初に作った曲なんで、“みんなで良い曲作ろう”っていう気持ちが特に強かったし、緊張感もあった曲ですね。時期的にも気持ちに余裕があった時に作りました。


ドイの苦しい過去から生まれた『夕闇とサイレン』
――疾走感のある曲がほとんどの中で割とゆったりした曲調の『夕闇とサイレン』ですが、この曲はどんな時に浮かんで作った曲なんですか?

ドイ:この曲は最初、自分の過去を清算したい曲だったというか、自分と向き合いたいと思って書いた曲だったんです。
10代の時に遺書を書いていたんですけど、


――遺書!?

ドイ:そうです、10代が一番苦しかった時期だったんで、その時の自分と向き合いたくて。
最初に書いた歌詞はストレートすぎてきっとついていけない人もいるなって思って。このアルバムのバランスも考えてギリギリまで悩んだんですけど、たまたまスガシカオさんとお会いする機会があって、その時に歌詞の書き方について「歌詞は人間の五感を揺さぶることができる最後のアレンジだから、ギリギリまで悩んで情熱を持って書きなさい」って仰られて。そう教えてもらってから色々模索した結果、全く別の物語調でオカルトチックなところに落とし込んで、悲しくて切ないところに持って行きました。


――最初に書いたヘビーな歌詞も今後やっていきたいという想いはあるんですか?

ドイ:そうですね、いずれはやりたいと思っています。


――にしても10代で遺書ですか…当時は何が嫌だったんですか?

ドイ:何が嫌っていうか、自分を取り巻く環境って10代じゃどうにもできないじゃないですか。だから毎日怒りがこみ上げるというか、自分が制御できなかったし、すべてが嫌でしたね。


――今、当時のドイさんと同じような感情を持っている人や、当時の自分に聴いてほしい曲をこのアルバムから選ぶとすれば、どの曲ですか?

ドイ:『テレキャスターマジック』かな。この曲って前向きなんですよ。10代の頃から破壊的な衝動があったんですけど、それを歌にしたものだと思っていて。決められた未来だとかも壊せるんだよっていうことを歌っているんで、昔の自分に聴かせたら何か思うのかなって思います。



ドイとタナカのピックアップフレーズからの最後に…
――ではここでお二人のピックアップフレーズをご紹介いただきたいと思います!

ドイ:決まってます!『テレキャスターマジック』の「目を覚まさなくちゃ 僕らの未来を君が今、決めるんだ」ってところは、さっき話したことと繋がるんですけど、お気に入りのフレーズです。

タナカ:俺は『New World Order』の「叶ったんだ そうなんだ 君が望む世界は いつだって君の思い通りさ」っていうところが好きです。すごいポジティブな捉え方ができる歌詞だと思っていて。語感も気持ちいいし、ちゃんと信じていればやれるんだなって思えるんで、本当に胸を掴まれたフレーズです。


――最後に、記事を見てくれた皆さんに一言お願いします!

タナカ:今までのセプテンバーミーからの進化でもあるし、全く違う面も見せられた胸を張っていいと思えるアルバムです。このアルバムを出せたのもみんなのおかげだし、もっと応援してくれてるみんなを楽しませていこうと思うので、アルバム買ってライブ来て、今後もセプテンバーミーに着いてきてください!

ドイ:今回のアルバムは綺麗事は言わないって決めていたんで、本当に心から思ったことをアルバムに詰め込みました。きっと聴いたらわかってくれると思います。なので是非、聴いてください!

Interview&Text:愛香

UtaTen

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