いつまでも灼けて残る熱い曲。美空ひ
ばりの『真赤な太陽』

なんと140万枚を売り上げる大ヒット曲となりました。ゴスペラーズ水樹奈々など多数のアーティストもカバーしているこの『真赤な太陽』。当時全盛のグループサウンズの影響を受けているサウンドが特徴です。作詞は、歌謡曲を多く作詞した吉岡治。『あわてんぼうのサンタクロース』も作詞している人です。





「まっかに燃えた 太陽だから 真夏の海は 恋の季節なの」という歌いだし。この印象的なフレーズのインパクトが、まずすごいですね。恋に燃えていることがすぐ分かる歌詞です。恋に燃えている感情を、夏の熱い太陽とかけている。

「真夏が恋の季節なのは、真っ赤に燃えている太陽が海を照らしているからです」本来の日本語であればこれが正しい文章。しかし、あえて最初に「まっかに燃えた太陽だから」というタイトルにもなっている主題を持ってくることで、聴く者に強い印象を与えているんですね。また、赤い太陽とせずに、「真赤な太陽」とすることで、「真夏の海」と「ま」の音のリズムを作り、かつ真に赤い=強い感情が込められていることが伝わってきます。



「せつなくなびく 甘い潮風よ」塩辛い潮風をあえて「甘い潮風」とする歌詞。渚を走っている二人の髪の毛が潮風になびいている、という光景が浮かびます。



「灼けた素肌」というフレーズ。日光にあてて肌を焦がす意味で、灼熱の「灼く」の字をかつては使っていました。この漢字は常用外となってしまったので、今では「日灼け」とは書かずに「日焼け」と表記しますね。はげしい愛に素肌が焼けたのは、「燃えるこころ 恋のときめき」を忘れずに残すためである、という歌詞。日光で肌が焼けて日焼けあとが残る「現象」を、愛で燃えた心の動きを忘れず記憶するという「意識」にしています。



「いつかは沈む太陽だから 涙にぬれた 恋の季節なの」2番で恋が終わったことが分かります。「沈む太陽」「砕ける波」が「真っ赤な太陽」と「甘い潮風」との対比になっているんですね。「砕ける波が 白く目にしみる」このフレーズもいいです。目にしみる、という表現で涙を流していることが分かります。また、恋に燃えていた時の色が「赤」だったのに対し、恋が終わり「白」=白けた状態になったと色の対比で表現。

「愛の孤独 海にながして はげしく身をまかす」愛の思い出は海に流されます。身をまかせる、という表現から海に身をなげたのでしょう。激しい愛だったので終わる時も激しい結末。

インパクトがあり、かつ覚えやすい歌詞です。長く愛される楽曲は、それだけの理由があるんですね。

TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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