6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂

6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂

MUCCの全国ツアーがついにスタート!
話題のアニメOP曲の発売と「ハイデ
」MVも解禁!

MUCCが日比谷野外大音楽堂にて6月25日(土)、『MUCC TOUR 2016 GO TO 20th ANNIVERSARY 孵化―哀ア痛葬是朽鵬6極志球業シ終T-』の初日公演を開催した。
長いツアーサブタイトル(メンバー曰く“文字化け")は、19年間に発表してきたアルバム名の頭文字等で、1文字が1作品を表現。2017年の結成20周年を前に、キャリアを網羅する意味合いの強い特別なツアーである。MUCCの野外公演と言えば雨が恒例だったが、曇天ながらも持ち応え、幸先の良いスタートを切った。

「哀ア痛葬是朽鵬6極志球業シ終T」と経文のように縦書きされた白・黒の垂れ幕が多数あしらわれたステージに、午後6時、メンバーが登場。逹瑯(Vo)は歓声に応えて大きくマイクスタンドを振り回す。YUKKE(B)がスラップするベース音からスタートしたのは、「大嫌い」。「気持ちいいね。野外でちょっとの時間、MUCCと遊んでってちょうだいよ」と語り掛けた逹瑯は、「嫌い嫌い嫌い嫌い」と歌いながらYUKKEに近付き、逃げられると次はミヤ(G)に接近。鋭い眼差しを向けられて、「すごい怖いんですけど!」と笑わせ緊迫感をほぐすと、SATOち(Dr)に向き合った後、いよいよ歌い始めた。

「ENDER ENDER」からは一気に攻め込み、「KILLEЯ」へと雪崩れ込む。最新シングル「ハイデ」に収録されたこの曲は、抒情的なメロディーとメタルの様式美を取り入れたギター・フレーズ、思わずシンガロングしたくなるコーラスパートなど、MUCCらしく多彩な要素が複雑に絡み合った曲。こうしてライヴで体感すると、とにかく凄まじい勢いで駆け抜けていくのが痛快だ。間髪入れず始まった「JOKER」では、逹瑯はマイクスタンドに沿わせる手を艶めかしく動かしながら、
声色を巧みに操り、妖艶なヴォーカルで観客を陶酔させた。

疾走感に溢れた「謡声(ウタゴエ)」で観客を乱舞させると、「ハイデ」収録の「悲しみとDANCEを」のめくるめくリズムの変動、呪文を唱えるかのような歌声、不穏なギターリフで心の深部をえぐる。イントロで悲鳴のような歓声が沸いたのは、2003年のメジャーデビュー・シングル「我、在ルベキ場所」。カクンと倒れ込んだ逹瑯は寝そべったまま歌い始め、やがて立ち上がると、激しく明滅するライトに射られながら、やるせなさに胸を掻き毟るような渾身の歌を聴かせた。開放的な屋外にありながら、ダークな密閉空間を立ち上がらせた「鎮痛剤」(2001年の1stフルアルバム『痛絶』収録)は幻惑的だったし、「A.」の繰り返し奏でられるギター・アルペジオは哀しくも美しかった。そして特筆すべきは「ママ」である。心細げにウロウロと誰かを探し回るかのような動きをしながら、痛切な心の叫びを炸裂させる逹瑯。跪いたり仰け反ったりしながら全身で荒れ狂うギター・フレーズを鳴らすミヤ。目を背けたくなるような暗い世界を描きながらも、すさまじいカタルシスをもたらした。

ステージが薔薇色に染まる中荘厳なメロディーを響かせた新曲「トリガー」、センチメンタルで真っ直ぐな歌が胸に飛び込んで来た「昔子供だった人達へ」と、新旧の壁をダイナミックにぶち壊しながらあくまで“現在のMUCC"の音で紡いでいく。全編を通して言えることだが、どんなリズムの変化もハイテンポも盤石に支えるYUKKEとSATOちの安定感が凄まじい。ピアノ・イントロで驚嘆の声を巻き起こしたのは「イソラ」。幻想的なエレクトロ・サウンドとオートチューンで変容させたヴォーカルが、情感をかえって際立たせる。<風に身を任せよう>と歌ったタイミングでまさしく風を肌に感じたのは、野外ライヴならではの醍醐味。この頃には陽が沈み、暗がりの中で「この線と空」をしっとりと深く響き渡らせた。

MCでは、「全部のアルバムは網羅できなかった。“入れられなかったな~"という曲、このツアーでガンガン入ってくるので。“あそこではこの曲やったか~。聴きたいな!"と思いながら、唇噛んで待っててもらいたいな、と」と逹瑯。終盤は、包み込むような歌声が印象深かった「家路」に続き、Ken(L'Arc~en~Ciel)がプロデュース、田中義人がアレンジしたことでも話題の最新シングル表題曲「ハイデ」を披露した。洗練された四つ打ちを軸に、想い出の景色を呼び起こすような、新しくも懐かしい不思議な手触りのこの曲。幾多の白いライトが上下に動き、まるで揺らめく魂のように、眩い光を放つ美しい情景を立ち上げた。そのまま四つ打ちのリズムを引き継ぎながら「Mr.Liar」へ突入すると、ムードは豹変。怒涛の2バスドラムを踏み鳴らすと、大きく手を挙げてスティックを振り下ろしたSATOちは、猛スピードの高速ドラミングに没入。野音は咆哮とヘッドバンギングの嵐となった。ラストは「TONIGHT」、観客・メンバーが声を合わせ、会場が一体となる最強のアンセムで本編を締め括った。

アンコールに応えて一番乗りで登場したYUKKEが、「こういうツアーって、俺がファンだったらすげえワクワクすると思うんですけど、どうですか?」と問い掛けると、拍手と歓声が沸き起こる。SATOちは、「俺、てるてる坊主をつくった」と明かしつつ、「前にやったChemical(Paradeツアー時の野音。2011年)から5年ぐらい経つのかな? 雨でドラムのペダルがベチャベチャでツルツル滑って」と苦労を振り返った。「このツアー、始まったのにまだまだツアーリハやります!」と逹瑯が明かすと、ミヤは「どういうことかと言うと、まだやってない曲があるから。地方スタジオに入る疑惑が(笑)」と補足。つまり、この初日に披露した以外の曲を、ツアー先の地方で練習しセットリストを絶えず更新していく、という攻めのプランを意味する。メンバー間でこうしてトークを自然に繋ぎながら、「(音を出す最終時刻である)8時半までずっとしゃべっててもいいし。それでもいい(笑)? トークでもすげー楽しませるよ?」と冗談めかす逹瑯。エッジの立った音楽とは対照的なこの穏やかなMCの空気感も、19年という長い年月の賜物に思えた。

「シングルでは初めてなんですけど、作詞・作曲をやらせてもらいました」とYUKKEが明かした新曲「CLASSIC」は、8月28日放送開始のTVアニメ『七つの大罪 聖戦の予兆』のオープニングテーマ曲。「疾走感のあるシングルらしいいい曲だよ? おどろおどろしくないよ? MUCCにそういうの求めてる(笑)?」と逹瑯は笑わせたが、冒頭からまさに疾走感が漲り、キャッチーなメロディーラインを誇るアニメソングの王道。作品の世界観に寄り添った歌詞も力強く、真っ直ぐに心に響いて来た。

全員ジャンプの指令を下した「1997」、夜の闇に似つかわしい暗い狂乱と渾身のシャウトで時空を歪ませた「オルゴォル」と続け、一瞬の静寂の後、問答無用のキラーチューン「蘭鋳」へ突入。観客が一斉に髪を振り乱し、息を飲むカオスが出現した。全員を一旦座らせる恒例の場面では、先走りして座ろうとした観客を「何勝手に座ってんの? お前ら、いつの間に見切り発車するようになった(笑)?」とイジる逹瑯。窓の明かりが灯るビルを見やりながら、「“俺も行きたい"と思うような、もしくは“絶対行きたくない"と思うような、最高の乱痴気騒ぎを見せてやれ!」と煽る。初日であるこの野音を「今日を基準にしたい。絶対超えてやるからな。かかってこいや!」と自分自身に、観客に気合入れするように焚き付けて、SATOちのカウントで全員が一斉にジャンプ。その瞬間、ステージを覆い尽くすほどのスモークが噴出。めくるめく興奮の中、公演は幕を閉じた。

ツアーは次の7月9日(土)京都FANJから全国17か所を巡ることになるが、MCにもあった通り、各地でその会場でしか聴けない曲を披露する可能が高く、予測不可能だからこその刺激やスリルを味わえるツアーになることだろう。

大阪城野外音楽堂で9月3日(土)にファイナルを迎えるまでに、どんな変貌・進化を遂げていくのか、全公演を自分の目で確かめたくなるような初日公演だった。

アンコールにていち早く披露された、既にTVアニメ『七つの大罪 聖戦の予兆』オープニングテーマとして決定している楽曲「CLASSIC」は発売日が9月14日に決定した。Sony Music Shopでは非売品ステッカーが付く予約もスタートしているので、気になる方は是非チェックを。

さらに「ハイデ」のMUSIC VIDEOも解禁となった。今作のMUSIC VIDEOはRADWIMPS、ゲスの極み乙女。、[Alexandros]、吉井和哉などのMUSIC VIDEOを手掛ける大久保 拓朗を監督に迎え、メンバーの地元茨城県を舞台に楽曲の雄大さを表現した作品となっているので、こちらも是非ご覧になってみてほしい。

Photo by 西槙太一
Live report by 大前多恵

(C)鈴木央・講談社/「七つの大罪」TVSP製作委員会・MBS

「ハイデ」MV

シングル「CLASSIC」

2016年9月14日発売
※TVアニメ『七つの大罪 聖戦の予兆』オープニングテーマ
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
AICL-3154~3155/¥1,800+税
【通常盤】(CD only)
AICL-3156/¥1,300+税
【期間限定通常盤】(CD only)
AICL-3157/¥1,300+税
※アニメ両面デジパック仕様

◎Sony Music Shop特典
特製非売品ステッカー
※デザインは後日発表致します

「MUCC TOUR 2016 GO TO 20TH ANNIVER
SARY 孵化 -哀ア痛葬是朽鵬6極志球業シ
終T- 」

7月09日(土) 京都FANJ
7月15日(金) 札幌PENNY LANE24
7月17日(日) 仙台Rensa
7月19日(火) 山形ミュージック昭和セッション
7月23日(土) 金沢EIGHT HALL
7月24日(日) 富山MAIRO
7月26日(火) 浜松窓枠
7月28日(木) 岐阜club-G
7月30日(土) 広島クラブクアトロ
8月13日(土) 松山W studio RED
8月14日(日) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
8月16日(火) 名古屋クラブクアトロ
8月20日(土) 水戸club VOICE
8月26日(金) 福岡BEAT STATION
8月28日(日) 宮崎WEATHER KING
9月03日(土) 大阪城野外音楽堂
※終了分は割愛
6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂
6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂
6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂
6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂
6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂
6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂
6月25日(土)@日比谷野外大音楽堂

アーティスト

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着