アルバム『スリラー』

アルバム『スリラー』

マイケル・ジャクソンの『スリラー』
が史上初の30×プラチナ・アルバムに
認定

1982年の発表以来、全世界で1億5千万枚以上のセールスを記録したマイケル・ジャクソンの『スリラー』が、全米レコード協会によるゴールド&プラチナム・アルバム・プログラム史上初の30×プラチナ・アルバムに認定された。
RIAA会長兼CEOのケアリー・シャーマンは、「RIAAは音楽業界を代表し、ゴールドおよびプラチナ・アルバムの認定を60年間続けてきましたが、ひとりのアーティストが30×プラチナの境地に達したのは今回が史上初めて。ゴールド&プラチナ・アルバムの歴史に残る唯一無二のステイタスを祝福できて光栄です。私たちの心や音楽史における『スリラー』の不朽の地位に対する、何とたぐいまれな成果であり証しであることでしょう」と語っている。

クインシー・ジョーンズとマイケル・ジャクソンがプロデュースを手がけた歴史的名作『スリラー』は、1982年11月30日の発売以来、かつてどのアルバムも成し得なかったグラミー賞8部門受賞という新記録を達成するなど様々な賞を受賞し、成功の新たな基準を打ち立て続けている。『スリラー』はビルボードのアルバム・チャートに2年半近く登場し続け、37週にわたり1位を記録するという現代の記録も保持している。同作はリリース後最初の80週間をアルバム・チャートの上位10位以内で過ごした史上初のアルバムとなったが、同様の功績を成し遂げたアルバムは発売以来30年以上経った今もわずか1作である。同作はビルボードのアルバム・チャート登場112週目(1984年10月30日)にして、RIAA史上初の20倍プラチナ・アルバムに認定された。『スリラー』は世界的にも、イギリス、フランス、イタリア、オーストラリア、デンマーク、ベルギー、スペイン、アイルランド、ニュージーランド、カナダ、そしてアパルトヘイト当時および廃止以降の南アフリカをはじめ、ほぼすべての国で1位を獲得している。

同作はその多様さと深さによって評価を博した。ローリング・ストーン誌は同作をマイケルにとっての“重大な転機"と呼び、ニューズウィーク誌は「マイケルの声はこれらの曲と一体化し、ハートを与える…これこそが、この音楽を不朽のものにするのだ」と予言的に記している。
このアルバムからは7曲がトップ10シングルとなり、「今夜はビート・イット」「ビリー・ジーン」が1位となった。収録された全9曲が地球上の全人類の心や記憶に永遠に居場所を残している。

『スリラー』は単なる1作のアルバムに留まらず、20世紀と21世紀の両方においてグローバルな文化的マルチメディア現象であり続け、音楽の境界線を打ち破り、ポップスの限界を永遠に押し広げている。『スリラー』の楽曲の力強さと特異性は、同作に先んじたロック、ポップス、ソウルのあらゆる定義の域を超えるものだった。エディ・ヴァン・ヘイレンの扇情的なギターを擁する「今夜はビート・イット」は、ポップスとロックの新種のハイブリッドとして、黒人と白人の音楽の長期にわたった棲み分けを打破した。『ザ・ガール・イズ・マイン』では黒人男性と白人男性が同じ女性について軽口を叩き合った。同じアルバムにはアフリカ音楽に根ざした「スタート・サムシング」や、リズム&ブルースに根ざした「ビリー・ジーン」が収録されていた。これほど多彩な内容のアルバムをリリースした者はかつて誰ひとり存在しなかった。

「マイケルの人種的先導者としての最も重大な功績は恐らくミュージック・ビデオに関するものだろう」。ジョー・ヴォーゲルは著書『マイケル・ジャクソン コンプリート・ワークス』の中でそう記している。黎明期にあったこの芸術様式に魅了されたマイケルは、壮大なスケールでストーリーを語り、楽しませることを臨んだ。

「ビリー・ジーン」が官能的な映画撮影技術、ドラマティックな物語、そして圧巻の振り付けを擁していたにもかかわらず、ほぼ白人ロック・アーティスト限定の編成を行っていた黎明期のMTVは放映を拒否した。エピックは粘り続けた。壁が崩壊するとMTVの視聴率は急上昇し、アフリカ系アメリカ人アーティストの一世代に門戸が開かれた。「彼はMTVのジャッキー・ロビンソンだったのです」と文化評論家のトゥーレは評している。続いて、マイケルが音楽とダンスの力で2組のギャングを引き合わせる、

「今夜はビート・イット」の忘れられないショート・フィルムが登場した。そして、極めつけが「スリラー」だった。1983年にロサンゼルスのAVCOシアターで初演された同作は、その後3週間連続でソールド・アウトとなった。これほどの興奮を生み出し、30年以上を経ても人々の注目を集め続け共通の記憶であり続けてきたビデオは後にも先にも存在しない。同作は現在も、米国議会図書館によってアメリカ国立フィルム登録簿入りに選ばれた唯一のミュージック・ビデオである。

『スリラー』の重要性はグラミー賞において、マイケル・ジャクソンの業界仲間たちに認識されている。『スリラー』は12部門でノミネートされるという新記録を打ちたて、うち8部門を受賞。これはアルバム1作が受賞したグラミー賞の数として史上最多である。同年の受賞のうち、アルバム・オブ・ザ・イヤー、レコード・オブ・ザ・イヤー(「ビート・イット」)、最優秀男性ポップ・ヴォーカル(「スリラー」)、最優秀エンジニア録音(クラシック以外)(『スリラー』)、最優秀男性ロック・ヴォーカル(「ビート・イット」)、最優秀男性R&Bヴォーカル(「ビリー・ジーン」)、最優秀R&B楽曲(「ビリー・ジーン」)の7部門はマイケルに贈られている。(マイケルが同年受賞した8つ目のグラミー賞は、『E.T.』に贈られた最優秀児童向けレコード部門だった。)同年、マイケル・ジャクソンはアメリカン・ミュージック・アワードを8部門と、MTVビデオ・ミュージック・アワードを3部門受賞。翌年には『ザ・メイキング・オブ・マイケル・ジャクソンズ・スリラー』が第27回グラミー賞において最優秀ビデオ・アルバムのトロフィーを獲得した。

マイケル・ジャクソンはそのたぐいまれなキャリアを通じて全世界で10億枚以上もの作品を売り上げ、13曲のシングルがナンバー・ワンとなり、ロックンロールの殿堂入りを2度果たしたごく少数のアーティストのひとりとなった。『ギネスブック』はジャクソンを「史上最高の成功を収めたエンタテイナー」に、『スリラー』を「史上最高の売り上げを博したアルバム」と認定している。彼の芸術性、振り付け、音楽は、ポップス、ソウル、R&B、ヒップホップのアーティストとファンに、何世代にもわたってインスピレーションを与え続けている。

エピック・レコーズ会長兼CEOのL.A.リードはこう語る。「マイケル・ジャクソンがひとえに史上最高にして最大のアーティストであることは火を見るより明らかです。彼はチャート上のヒットや売り上げの統計が驚異的であるだけでなく、この世のものとは思えないほど純粋な音楽性の持ち主でした。『スリラー』は画期的かつ衝撃的な作品でした。…完成の域そのものだったのです。マイケルがエピック・レコーズの核心にいることは私にとってこの上ない誇りです。彼はいつまでも唯一無二のキング・オブ・ポップであり続けることでしょう」。

マイケル・ジャクソンの遺産管理を務めるジョン・ブランカとジョン・マクレインはこう語っている。「1億枚を超えるセールス。そして今もなお売れ続けている。『スリラー』のような現象は他にありませんでした。マイケルはそのクリエイティヴィティを思う存分発揮し、感情の深みを探索し、音の革新の限界を押し広げました。そのプロセスの中で音楽業界の壊滅的な障壁を突破し、自身の音楽を通じて文字通り世界をひとつにしたのです。マイケル・ジャクソンの音楽によって活気付けられなかった場所などこの惑星には存在しません。『スリラー』はリリースから30年を経ても啓示的であり続けているのです」

『スリラー』をはじめマイケルのヒット作は、シルク・ドゥ・ソレイユとマイケル・ジャクソン遺産管理会が共同でプロデュースを手がける人気のラスベガス公演『マイケル・ジャクソン ONE』にフィーチャーされている。『マイケル・ジャクソン ONE』はラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテル内マイケル・ジャクソン ONEシアターでソールド・アウトを続け、ファンを感嘆させていると共に、そのレガシーを新しい世代にも受け継いでいる。

「BILLIE JEAN」MV

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OKMusic編集部

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