Marvin Gaye

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    Marvin Gayeマーヴィン・ゲイ

    スーパー・スターとしての名声を誇りながらも、常に悲劇的な匂いがつきまとう“ソウル界の貴公子”マーヴィン・ゲイ。コンサートの直前に自信を失い突如逃げ出そうとしたり、ノリノリで歌っていたかと思えば、間奏の間にどの曲を歌っていたのか忘れてしまう……といった、非常にミステリアスでセンシティヴで感受性の強い“危うい”側面は、セクシーでロマンティックな彼の音楽性と密接に結びついているのではないだろうか。
    61年のデビュー以来、数多くのヒット曲を産出。70年代には、ストリートの惨状をポジティヴなメッセージに変換して歌い上げた『ホワッツ・ゴーイン・オン』、セックスと愛をテーマに取り上げ、彼をセックス・シンボルの地位にまでも昇り詰めさせた『レッツ・ゲット・イット・オン』、ポルノ・サウンドとでもいうべき『アイ・ウォント・ユー』——など傑出曲を次々に発表。「色っぽく艶のあるテナー」、「野性味溢れるシャウト」、「天使のようなファルセット」といった3種の声を見事に使い分け、多重録音を駆使したヴォーカル・オーケストラのごとき、独自のサウンドを創り出している。そして性愛をテーマにしても、それを内省的かつ普遍的な愛(=ゴスペル)にまで高めてしまう希代の表現力は、誰にもマネできない聖域にまで到達したといえる。
    その後、83年に「セクシャル・ヒーリング」が大ヒット。だが——黒人音楽における電子楽器の普及をおき土産に、84年、実父に射殺されるという悲劇的な最後を遂げた。しかし、現在でも彼の遺伝子は、ディアンジェロやマックスウェルといったアーティストに受け継がれている。それは間違いない事実だ。

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