泥臭いルーツロックと都会的なAORサウンドをミックスさせたレス・デューデックのソロデビュー作『レス・デューデック』
今は亡きデュアン・オールマンの再来と言えば、デレク・トラックスの印象が大きいが、かつてはレス・デューデックに注目が集まっていた。2013年には来日公演があったのだが、観に行ったのはほとんどが昔からのファンで、ロック界ではすっかり忘れられた存在になってしまっている。しかし、彼が76年にリリースしたソロデビュー作『レス・デューデック』と、続くセカンド『セイ・ノー・モア』(‘77)は、後にTOTOを結成する敏腕アーティストたちとタッグを組み、オールマンブラザーズ譲りの泥臭いロックと洗練されたAORをミックスした新しいサザンロックを聴かせている。この2枚はどちらも甲乙付け難い内容であるが、当時、彼のデビューはかなり衝撃的な出来事だったので、今回は1st アルバムの『レス・デューデック』を取り上げる。プロデュースは『シルク・ディグリーズ』(‘76)の大ヒットで知られるボズ・スキャッグスが買って出ている。