Joe Strummer

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    Joe Strummerジョー・ストラマー

    70'sを代表するパンク・バンド、クラッシュの核として記憶されるジョー・ストラマー。そのかきむしるような叫び声と政治色の強いメッセージを聴けば、80年代を通過した音楽ファンなら即座に彼だとわかることだろう。
    クラッシュのパンク/レゲエ/ロックンロールの融合へのあくなき挑戦は、周知の通り同世代のバンドに大きな影響をもたらした。そして、その遺産が今なお引き継がれていることは、ランシドやザ・パイテイスターズなどのグループが79年の『ロンドン・コーリング』を強く意識した音づくりをしていることからも明らかである。
    85年のバンド解散後、ストラマーは自身の音楽活動からは遠ざかり、他のバンドのプロデュース活動を中心に行いつつ、その傍ら俳優としてスクリーンにも顔を見せていた。だからこそ、自身のバンド、メスカレロスを従えての復活はリスナーに大きな喜びを与えたのである。その“ジョー・ストラマー&ザ・メスカレロス”のサウンドはクラッシュの延長線上にあり、時には散漫とも思える音楽への探究心は名盤『サンディニスタ!』を思い起こさせる。しかし、より方向性を明確にしたサウンドを聴き込むうちに、視野を広く見据えたワールドミュージックへの目配りに感嘆することだろう。
    ポップ色が強くなり、テクノ・ビートが取り入れられてはいるものの、ストラマー自身は少しも変わっていない。——もはや「白い暴動を!」とアジテイトすることはないだろうが、そのかわりに彼が掌握したのは気のおけないバンドとプレイできるささやかだが極上の喜びなのだ。
    02年12月、心臓発作で亡くなるという突然の訃報が……享年50歳。合掌。

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